6.今宵彼女と見る夢は。

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6.今宵彼女と見る夢は。

 皆を見守る大樹にはなれず、鉢の中にいるけれどあの子の話を聞いている。  うまくいかない仕事のことや、ちょっと気になる人のこと。嬉しそうだったり、口惜しそうだったり。  優しく葉水をくれながらあの子が歌う声がする。昼間は少しだけ恥ずかしい故郷の言葉で。  懐かしい空と森を思いながら、今宵もあの子とキジムナーの夢を見る。
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