60.文披31題《Day1〜Day5》

1/1
前へ
/70ページ
次へ

60.文披31題《Day1〜Day5》

7月(文月)にちなんだ企画に参加します。 僕(社会人2年目。ざっくり設定です) の心に、突然芽生えた気持ちがテーマ。 1日1題です。 うまくいきますように!! *-*-*-* Day1『夕涼み』 君が氷菓をパキッと割った。 月初の月曜日はむやみに忙しいから、歩き回った体にご褒美の時間だ。ひんやりとしたのどごしを思いだす。 差し出されたものに手をのばすと、君の指先が一瞬触れた。昼間の温度がぶりかえしたみたいに、僕の手がそこだけ熱くなる。 なんだこれ? *-*-*-* Day2『喫茶店』 とても安らげるお気に入りの場所がある。 初めて訪ねた町の裏路地で、芳しい香りのするその店は、道を間違えた僕が偶然見つけた秘密基地。 カップとソーサーが奏でる音と、ポコポコという心躍る音しか聞こえない。 とても明るい君が、この場所を気に入るといいのだけれど。 *-*-*-* Day3『飛ぶ』 僕は作ったばかりの資料を見返して慌てた。日付の欄がすべて明日になっていたのだ。 理由は簡単に思いつく。スケジュール帳につけた丸印を眺めてばかりいたから。君の苦手な書架の森を、僕が案内する約束の日。 約束を果たしたあと、僕はどんな顔をしているかな? *-*-*-* Day4『アクアリウム』 「この本、わかりやすい!」 目の前に座る君はページに没頭している。役に立てたようだ。 置きざりにされた僕は、何を期待していたんだろう。 君と僕の間は、透明なアクリル板で仕切られているみたい。触れることのできない美しい世界を泳ぐ君に、僕はどう見えてる? *-*-*-* Day5『琥珀糖』 贈り物の包みを開くと水羊羹の隣に美しいかけらが入っていた。しゃりと歯をたてれば、中はぷるりと震える。 「寒天と砂糖からできてるって! 青いのはブルーハワイシロップだ」 君が好奇心いっぱいの瞳を輝かせた。 僕はどきりとして目をそらす。そのきらきらの下も甘いのかな?
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加