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60.文披31題《Day1〜Day5》
7月(文月)にちなんだ企画に参加します。
僕(社会人2年目。ざっくり設定です)
の心に、突然芽生えた気持ちがテーマ。
1日1題です。
うまくいきますように!!
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Day1『夕涼み』
君が氷菓をパキッと割った。
月初の月曜日はむやみに忙しいから、歩き回った体にご褒美の時間だ。ひんやりとしたのどごしを思いだす。
差し出されたものに手をのばすと、君の指先が一瞬触れた。昼間の温度がぶりかえしたみたいに、僕の手がそこだけ熱くなる。
なんだこれ?
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Day2『喫茶店』
とても安らげるお気に入りの場所がある。
初めて訪ねた町の裏路地で、芳しい香りのするその店は、道を間違えた僕が偶然見つけた秘密基地。
カップとソーサーが奏でる音と、ポコポコという心躍る音しか聞こえない。
とても明るい君が、この場所を気に入るといいのだけれど。
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Day3『飛ぶ』
僕は作ったばかりの資料を見返して慌てた。日付の欄がすべて明日になっていたのだ。
理由は簡単に思いつく。スケジュール帳につけた丸印を眺めてばかりいたから。君の苦手な書架の森を、僕が案内する約束の日。
約束を果たしたあと、僕はどんな顔をしているかな?
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Day4『アクアリウム』
「この本、わかりやすい!」
目の前に座る君はページに没頭している。役に立てたようだ。
置きざりにされた僕は、何を期待していたんだろう。
君と僕の間は、透明なアクリル板で仕切られているみたい。触れることのできない美しい世界を泳ぐ君に、僕はどう見えてる?
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Day5『琥珀糖』
贈り物の包みを開くと水羊羹の隣に美しいかけらが入っていた。しゃりと歯をたてれば、中はぷるりと震える。
「寒天と砂糖からできてるって! 青いのはブルーハワイシロップだ」
君が好奇心いっぱいの瞳を輝かせた。
僕はどきりとして目をそらす。そのきらきらの下も甘いのかな?
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