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7.画面の向こう
「本日の議題は、昨今の食糧事情悪化への対策です」
進行役の茶々丸が口を開く。人あたりがよくて表裏のない性格は、年寄勢だけでなく若手からも信頼されている。
「レオさんは参加されていないのですか」
女性グループのまとめ役、はなの声だ。開口一番、参加メンバーを見回している。
「彼にもとても重要な問題なのでは?」
心配そうに、モモが続ける。
皆の顔が一瞬で曇った。明るくてムードメーカーのレオが会合に欠席することは滅多にない。その理由を慮っているのだ。
「家猫の僕たちも、」静かになった座にリクの声が響く。「自由に出歩く事ができなくてこうして画面越しなのに、地域猫の彼にリモート集会への参加は難しいよ」
マイペースなリクが毛づくろいをしている。深刻な空気を和らげようとしているのだろう。
結局、定期的に情報交換という生存確認をすることだけを決めて散開した。
ソラは自宅であるマンションのベランダから、レオや彼の友人たちの元気な姿を探して目をこらす。モナカは家族の足もとに丸まり、祈りながら目を閉じた。
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時事問題をテーマにするの難しいですね。
悲壮感ではなくて仲間意識とか友情を描きたくて書きました。
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