11章 本音

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 どこをどう通ったか分からないまま、辿り着いたのは叔父の家。  震える手を抑えきれぬままインターホンを鳴らし、出てきたのは従兄弟の(いつき)だった。  「まさか……勝輝?」  樹の声に頷く。成人しているであろう樹の顔は、すっかり大人びている。最後に会ったのは、恐らく父の葬儀の時だった。  「ちょ……っとだけ、待てるか? ここで話すのはまずいんだ。」  訝し気に頷くと、すぐに樹は着替えて、近くの公園へ連れて行ってくれた。  公園は誰もいない。座って話そうと、ベンチを探していた時、風の中に樹の声が響いた。  「お前……今まで何してた。」  「え?」  なんでそんなことを、と言おうとした時、振り向いた樹に殴られた。  不意打ちを食らい、そのまま後ろに倒れこむ。何をするんだ、と言おうとした瞬間、樹の怒声が響き渡った。  「今更……何しに戻って来たんだ! お前のことだ、紅陽に会いに来たんだろ!?」  訳が分からない中で頷く。  「どこまで知ってんだ。」  「……母さん、じいちゃん、ばあちゃん、望美が死んでること。」  口に出すと、絶望が増す。紅陽以外、もう家族がいないのだ。じっと樹の燃えるような目を見ていると、樹の口が動いた。  「もう、紅陽はいないよ。」  「……は?」  「6年前に家を飛び出して、そこから行方が分からねぇんだ。親父も捜そうとしないし、遺品も大量に置いてったからさ……帰るつもりも無いんじゃねぇかな。」  呆然と聞く。紅陽は、理由も無しに家を出る人じゃない。それは分かっている。  「ま……あの言葉、聞いちまったんだとしたら、そりゃ無理だろうな。」  食いつくように聞いた瞬間、初めて紅陽の飛び出した理由が分かった。二度とお前らとは関わらない、と吐き捨て、すぐに走り出した。  涙を必死に堪え、唇を噛みしめた。
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