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12章 救助転生を終了します
あれから1ヶ月。
もう少しで、自分の誕生日であるクリスマスが来るという日、自分はベッドの中にいた。
「ったく、だから無理するなって言っただろ? 休むことに文句言う教授じゃあるまいし、俺もそれで文句言うわけないんだから。」
勝輝の声に、不貞腐れた声を出す。
「仕方ねぇじゃん。朝は元気だったんだから。」
「お、口答え出来る元気は有り余ってんな。」
大学で、どうにも立っていられなくなって倒れてしまったのだ。慌てたように迎えに来た勝輝は、連絡して15分で車をかっ飛ばして来たらしい。
事故ったらどうすんだ、とツッコミを入れたら、お前のことをどれだけ大切にしてるか分かってくれ、と息を切らしながら言われて、思わず笑ってしまった。
グルーデン教授や学長だけでなく、純や利津も心配してくれてはいるが、もう兄貴がいるから大丈夫、と言ったら、全員安心した顔をしていた。
だが、気にかかっていることが1つだけあった。
「紅陽、そういえば最近、救助転生って行ってるか?」
首を横に振る。そう、通知が来ない。何も来ないのだ。勝輝に関しては、最初の最初に呼ばれ、ただ承諾しただけらしく、何も知らないのだという。
「でも……今この状態で行っても、って感じだし。」
こんな、鬱でボロボロになった身体で行ったところで、万全の状態とは到底言えまい。前と同じような乗り越え方は出来ないだろう。
小さく息をついた時、ふとスマートフォンの画面を見た。通知音が煩わしくて、サイレントモードにしているのだ。たまには確認しないと。
そう思ってふと見た時、1つの通知に目が留まった。
「……12月25日?」
「ん? その日はクリスマスで、お前の誕生日、じゃないのか?」
「違う、これ見て。」
勝輝に見せた通知、それは……
【12月25日 最後の救助転生を開始します】
最後の救助転生、その言葉が不思議と重く感じた。
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