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宮音音楽大学は、名前を知らない人はいないほどの、超難関名門と言われる音楽大学だ。
中でもピアノ専攻科は飛び抜けて難しいと言われているが、入ればプロに必ずなれるようなレッスンを受けれるとあって、倍率は高く、毎年十倍を超えている。
受験した多くの学生が人知れず涙をのむ大学で、ピアニストや他の演奏家、そして音楽家を目指す人にとっては、憧れの大学でもあった。
そんなピアノ専攻科に「神童」と呼ばれる学生が入学する。
羽倉紅陽。
幼い頃に連弾のsecondを経験しており、今ではソロのレベルも申し分無い実力を持っていた。
更にこの青年は、高校二年生という若さでショパン国際コンクールに出場、さらには優勝した経験を持っている。まさに「神童」という名前が相応しい存在。
もちろん、大学内でも紅陽のことは一瞬で知れ渡った。
相当な若さでショパン国際コンクールのトップを勝ち取った「神童」とは、一体どれほどの実力なのか……誰もが一気に彼に注目した。
だが、入学してから数ヶ月。紅陽が憂鬱な思いで大学に通っているなど、誰も知らなかった。
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