第一章 お手伝いの麗花さん

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物…… そうだ。僕の下で、眉を上げて僕を睨み、片足を担がれて大きく脚を開かされている彼女は、唇をかんで、僕を見続けている。 『物? お前は物だろう? 昨晩、男に買われるために並んでいた物だよな』 僕は、かまわずに腰を振り続けた。 きつく睨む視線は変わらずに、一段と色味を失った瞳はやがて大粒の涙を流し始めた。 なんだよ…… 泣くって…… 声一つ上げずに、僕の腰の動きにも無反応なモノは僕の下で温かい…… 人の…… 温もりを僕に伝えていた。
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