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「……では、日曜日に。どうぞそれまでにご検討ください。また来ますね」
「はい、ありがとうございます」
私、篠宮聖は大学を卒業し、就職と同時に上京してから早2年。仕事にも慣れてようやく一人暮らしを満喫できる余裕も出来た。
けれど、どうしても慣れないのがこれである。
「はーああ……」
玄関先にいたインターネット回線の勧誘を案内するセールスマンが意気揚々と去っていく。その姿を見送って扉を閉める。その途端に、盛大なため息がでた。
手の内になるチラシ3枚。どれもセールスマンが残していったインターネット回線の案内だ。
期待と憧れが募った社会人生活とその一人暮らしは心地いい。大好きな木と黒のアイアンで作られた家具を並べた部屋。あちこちで光合成を繰り返す植物たち。好きなものに囲まれる暮らしは言ってしまえば最の高だ。
そんな世界を一瞬でぶち壊すこの出来事。
1番陽の光が高い位置に来た正午すぎ。恐れていた予期せぬ訪問者が現れ、私はしどろもどろした。
インターホン越しに、忙しい、手が離せない、とずっと先延ばしにしていた訪問者――セールスマンがやってきてしまった。
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