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この世には様々な「縁」が溢れている。
その中でも異様な強さを秘めている縁は、……おそらく、「血縁」だろう。
「血は水よりも濃し」という言葉もあるように、血縁関係は、様々なものを濃く強くする。
顔かたちが似てくることもあるだろうし、共有できる思い出や感情が増える。
だからこそ、人はそう簡単には孤独になれないのだろう。
そして濃く強いからこそ、――負の面に転じた際には、もう手に負えない。
2016年に法務省が発表しているデータによると、摘発された殺人事件(未遂も含む)のうち実に半分以上の 55 %が親族間殺人だという。
親戚同士で命を打ち消し合う。
家族が憎み合う。
兄弟がお互いの首に手をかける。
この行為の意味を、少しだけ理解できそうになるのは、なぜだろうか。
――「血は水よりも濃し」。
透明をかき消す程の赤。
その赤は、「血」の色なのだ。
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