空を見上げるとき ☆

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空を見上げるとき ☆

もう少し。もう少しだけ、 手を伸ばしても虚しく…… 空気を掴むだけ。 自分が何を見て、考えているか分からない。 ただ、見えるのは天井に描かれた真っ暗な空だけ。 本物ではない。 偽物の空。 だけど、そよ風や小鳥のさえずりが聞こえてくる。 気持ちがいい。 偽物でもいい。 いつか、本物の空と鳥と木と風に出会えれば。 こんなに気分がいいと大きな声で、小鳥に返事したくなってしまう。 口は開いてるはずなのに、自分の声が聞こえない。 ……おかしいな。 全部夢を見ているみたいに眠くなってきた。 大きな欠伸が出ちゃった。 誰にも、見られてなければいいなぁ。 恥ずかしい。 そっかぁ。きっと夜なんだ。 眠って次に目が覚めたら、そこは外だといいなぁ。
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