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翌日、香織とランチをしながらも出張中の二人のことが気になっていた。香織はそんな私の気持ちを知ってか知らずか追い討ちをかけるように言う。
「あんたのとこの課長とうちの課長、今頃出張先でイチャイチャしてたりして」
「やめてよ、気持ち悪い」
思わず強い口調になる。嫉妬だ。不思議なことに奥さんに対する嫉妬心はあまりない。顔が見えないからかもしれない。でも坂本に対しては強い嫉妬心を抱いていた。社内には可愛らしい若手女子社員もいるのだが彼女らに対するよりも同年代の坂本に強く嫉妬するのは若い女には勝てないと端から諦めているからだろうか。
「それよりさ、何かいいダイエットないかなぁ」
食事制限は始めたがそれだけじゃ足りない気がする。ダイエットねぇ、と香織は首を傾げサプリを飲んでみたらと言う。
「サプリ?」
確かにダイエット効果を謳う製品は多い。だが何とも胡散臭いと思っていた。でも一度ぐらい試してみてもいいかもしれない。効果がなければやめればいいだけなのだから。
「何かいいサプリ知ってるの?」
「私の友達がダイエット中に何か飲んでた気がする。その子一ヶ月で五キロぐらい瘦せてたんだけど肌も綺麗なままだったよ。今度サンプルもらってきてあげようか」
香織はペットボトルのお茶をぐびりと飲む。サンプルぐらいなら飲んでみてもいいか、そう思った私は「じゃあ頼もうかな」と頷いた。
その週はどうにも二人のことが気になって仕事に身が入らないまま過ぎていった。
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