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「おはようございます、課長。出張はいかがでした?」
週明け、様子を窺うようにして課長に声をかけた。
「いやぁ、もっと成績あげろって絞られちゃったよ。二課にも負けないようにしなきゃな」
二課、というのを聞いて思わず坂本の席を見る。相変わらずキーキー声で部下を怒鳴りつけていた。再び妄想が頭を擡げる。私は軽く頭を振り自席へと戻った。
香織は早速サプリのサンプルを持ってきてくれていた。小さなチャック付ポリ袋に何の変哲もない錠剤が五錠入っている。
「一日一回、朝に飲めばいいんだって。ま、試してみなよ」
私はその袋に入った錠剤をしばらく眺めた後、「ありがとう」と言い鞄にしまった。
翌朝、早速錠剤を飲んでみる。吐き気でもしたらどうしよう、とかお腹を壊すんじゃないか、とか思ったが特に何も起こらない。
(ま、無料でもらったんだしとりあえず飲んでみるか)
こういうものは信じることが大事なのかもしれない。きっと瘦せる、そして綺麗になってやるんだ、私は決意を新たにした。
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