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紹介
真中さん、どこかで見たことがある。多分、有名な学者さんだ。
一番手前にいる真中さんは、私に右手を伸ばして握手を求めた。
真中さんと握手。
「気を付けてください。真中さんは、未婚の独身者ですから」
古田さんが笑いながら言うと、真中さんは頭を掻いた。
でも、悪い感じじゃ全然ない。
もうちょっと私の年齢が高かったら、別にこの人でも全然いい。
「その隣が、エネルギー物理学者の池山さん」
「あやちゃん。よろしく」
池山さんは、知ってる。中学の頃、バトミントンで勝ったのは私だった。
「その隣に座ってるのが、小早川夫妻です。旦那さんが、国際政治学者、奥さんが、国際法学者」
笑顔がきれいな小さなご夫婦。
奥さんを助けられてよかった。
「これから大福を食べるときは気をつけますね。あやちゃん、ありがとう」
奥さんはまた頭を下げた。
いえ、私の方こそ、奥さんのおかげで救われた気持ちだった。
「正面に座ってるのが、土橋夫妻。旦那さんが、設計技術者で、奥さんが、システムエンジニアです」
土橋夫妻はそろって眼鏡を少し上げ、にやりと笑った。
「あの。土橋さんは何かを企んでるわけではありませんので、あやちゃん、大丈夫ですよ」
周りから笑いが起きた。土橋夫妻も愉快そうににやりと笑っている。
「で。ええ、左の奥が、元パイロットの宮本さん。ジャンボジェットを操縦してました」
すらっとしたハンサムな宮本さんは軽くこちらに敬礼した。
私も敬礼で返す。
「その手前が、電気技師の稲葉さんです。現役時代は、電力会社の工事部長をしてました」
この人も浅黒いハンサム。若いころはモテたに違いない。
「で、その手前のこちらが、土木会社の社長の広沢さんです。それから、広沢さんの下で様々な機械のオペレーターをしていた飯田さん」
この二人は恰幅がいい。
土木現場で鍛えたのだろう。
「あやちゃん、よろしく」
広沢社長は、腹に響く低音で私に挨拶をした。
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