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穏やかな陽射が心地よい春の日。
名古屋地方検察庁の特別捜査部(略して特捜部)に一人の検事が赴任してきた。
その検事の名は、五味賢太郎(ごみけんたろう)36歳独身。
身長180cm、体重60kg、小顔でやや離れ気味の三白眼。色気のある、いわゆる「ヘビ顔男子」である。
五味は、大学法学部を卒業後、法科大学院に進み、司法試験に一発合格。
司法試験を受けたきっかけは、事件被害者を誰が守るのか、という思いから、被害者救済に取り組む弁護士を目指してのことなのだが、司法修習生の時に出会った教官の検事から、「検察官の方が被害者により近い立場にある。本当に被害者に寄り添えるのは検察官だ。我々はそうである信念を持っている」
と言われたことに感化され、検察官を志望し任官された。
最初の赴任先は水戸地方検察庁で、次いで横浜地方検察庁、京都地方検察庁への転勤を経て、この度、名古屋地方検察庁への着任となった。
ここで配属されたのが特捜部。
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