特捜はぐれ検事 ゴミケン

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 まるでセレブが行くような高級レストランの品の良いマネージャーのようにダージリンティーの説明を丁寧にすると五味に差し出した。  都会の雑踏とは無縁の緑の木々に囲まれた官庁街にある名古屋地検の庁舎。 「うーん、いい香りですね」  五味は上品な香りを堪能しながらそう言うと、窓から見える明るい自然の景色とは裏腹な薄暗い検事室で、熱いダージリンティーを啜り、黒い革張り椅子の背もたれをゆっくりと後ろへ倒しながら直受案件資料に目を通した。  その様子を見ていた作田は、満足気な顔をし、立会事務官の席に背筋をピーンと立てて座った。  そして、しばらく静かな時間が流れた。 「うーん、侵入窃盗事件か・・・。たしかに検察に訴えてくるには珍しい事件ですね」  五味は、誰も居ない森の湖畔で静かに寝ていた者が突然目覚めたような声を発した。  五味の名古屋地検における最初の事件は、名古屋駅の西口から10分くらい南へ向かったところにある小さな質屋の女主人からの訴えによるものであった。
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