ファインド・ダ・アンサー

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 翌日、テスト返却の日。ついに俺の名前が呼ばれた。  もう何も心配することはない。あとは用紙を受け取るのみ。 「山田、よく頑張ったな」  先生の言葉に心が震える。  いいえ先生。俺は確かに頑張ったけれど、浅はかでした。そんな俺の計画の甘さに気づき、サポートしてくれたのは仲間の佐藤です。  彼失くしてこの結果はあり得ませんでした。彼のおかげなんです。 「英語が苦手なお前にしては、ほとんどのマスが埋まっている。よく勉強したな」 「いえ、そんな。ありがとうございます」  しかし、そんなこと馬鹿正直に言えるはずもなく、俺は短くお礼を言った。 「ただ、な」  先生が言いにくそうに頭を()いた。 「なんです?」 「お前のプリントだけどな、解答欄が全部ずれてて」 「え?!」 「残念だが、零点だ」  そんなはずない!  だって俺は最初のマスを上から順に、書かれていたとおりに書いたはず。数秒だが確認もした。いくら(あせ)っていたからと言って、そんな間抜けなミスをするはずがっ!  俺はポケットに入れたままにしていたカンニングペーパーを取り出して、改めて中身を見た。すると、一番上に書かれている単語が、明らかに問題文の内容と合っていないことに気づく。 「やまだー、俺満点だったぜぃ」  佐藤がヘラヘラと笑いながら俺のテストを(のぞ)きにやってきた。  同時に、並べていたカンニングペーパーを見て、佐藤も気づいたようだ。最初の問いだけを書き損じていることに。 「あ、やべ」  佐藤は舌を出して、こつんと頭に拳を当てた。 「テヘッ」 「さぁとぉぉぉおおおおおおっ!!」  俺の声は教室中に響き、そして年末の俺の小遣いは消えたのだった。
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