ファインド・ダ・アンサー

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――キーンコーンカーンコーン  始業の鐘が鳴ると同時に、俺は計画の全貌を佐藤に話した。  内容はこうだ。まず佐藤がテストの問題を解く。そして答えを直径五センチほどの用紙に書き込み、少々細工を施した消しゴムに仕込む。その消しゴムを俺が受け取って、答えを書き写す。 「別にいいけどさ。どうやって渡しゃいいんだよ」  問題はそこだ。佐藤の席は俺の左斜め後ろ、のそのまた一つ後ろ。消しゴムのやり取りをするには距離が開きすぎている。  しかし、その程度で諦める俺ではない! 「気合いで!」 「おまえは……」  佐藤はあきれた表情でため息をついた。 「とにかく、俺はずっと左手を後ろに向けて構えてるから、書き終わったら俺の手にこう、いい感じに投げ込んでくれ」 「いくらなんでも無茶だろ!」 「大丈夫だって、何とかなる」  その言葉には根拠があった。なぜなら俺は、勉強ができない代わりに運動はなかなか出来る方なのだ。キャッチには自信がある。俺に取れない球はない! 「それに、もとはといえばお前のせいでもあるんだから、協力しないとは言わせないぞ」  そう言うと、佐藤はしぶしぶ頷いた。 「よし。じゃあこれが消しゴムと紙――」 ――ガラガラガラッ  教室の扉が開くとともに、佐藤は素早く席に戻った。 「はーいみんな席についてー。遅れてごめんな。挨拶はいいから座って、筆記用具以外、机の中に仕舞ってちょうだい」  思った通り、少し遅れて現れた先生は、分厚いプリントの束を抱えていた。 「じゃあ早速だけど、テスト配りまーす」  俺は振り向いて佐藤と顔を見合わせた。同じくこちらを見つめる佐藤が緊張の面持ちで頷く。  こうして俺たちの小テストをめぐる戦いが始まったのだ。
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