序章の序章

1/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ

序章の序章

「ちゃんと掃除をしなさい!」 アルタル国の女王であるコロラドが僕に命令を下す。 ギタリン星には5つの大きな大陸があり、大陸毎に一つの国家が存在する。 北にある大陸は万年雪が降り積もる「カンタル国」 南にある大陸は万年猛暑となる「オンタル国」 その間に3大陸が存在し、砂漠が大半を占める「イニタル国」 森林が大半を占める「ウロタル国」 そして一番大きな面積があり人口も多く、人類の進化に関わる様々な発明を発信しつづける国である「アルタル国」がある。 必然的にアルタル国は全世界の中心国家とされており、その女王であるコロラド女王は全世界の最高位の存在である。 何でコロラドが・・・ そんな全世界の最高位であるコロラド女王から命じられている掃除は、アルタル国を含めて5つの国が一同に集まれる会議場の床掃除を布切れ一枚で水拭きする事だった。 各国20名単位で出席する会議なので、100人以上が座れる大きな五角形のテーブルが中央に置かれている。一辺に30個の椅子を置いても余裕がある大きなテーブルだ。 そしてその大きなテーブルを囲む様に一般参加者の閲覧席が10,000席以上も置かれているのだ。 まるで闘牛場の様な会議場である。 会議は半年に1回開催され、特別な問題が生じた際には臨時で世界会議が開催される。 そんな大きな会場の床を僕一人で布切れ1枚だけ渡されて水拭きをしているのだ。 それも毎日である。 閲覧席は床がザラザラとした床になっていて、薄い布で拭こうとすれば直ぐに破けてしまう。決して布を破らずに拭くなど出来る筈も無い。 それに丁寧に拭こうとすれば夕食の時間に間に合わない。 学校に通わせてもらっている僕は、学校から帰宅してから夕食まで2時間程しか無いので、その時間内に掃除を終えなければならない。急げばすぐに布を破れてしまうし、丁寧に掃除をしたら時間に間に合わないのだ。僕が学校に通う様になってから1回も夕食を食べた事が無い。 そんなコロラド女王も僕を学校には通わせてくれているので、こんな過酷な条件でも僕は満足している。たとえ1日の食事が学校で配給される食事だけであっても、城の外に出られる時間が少しでもある方が何倍も嬉しい事なのだ。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!