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いつだったか仕事で失敗をした時、自分を責める私に修ちゃんが言ったこの言葉は、涙が出るほど嬉しかった。
けれど"自分を好きになる”ということは、私にとっては至難の業だ。
ずっとずっと自分が嫌いだった。
何もない自分。何もできない自分。何者にもなれない自分が、ずっと嫌だった。
周りと比較をしては、自分の劣っている部分をわざわざ再認識して落ち込んでしまう。そんなくだらない作業をやめられなかった。
どうして私は生まれてきたのだろう。
生まれてこなければ良かったのにと、これまでに何度思ったことだろう。
実の母がずっと、私に言っていたようにーーーー
「結婚しようか、要。…って言っても、俺の仕事がもう少し落ち着いてからになっちゃうけど」
付き合って5年目の記念日を目前とした秋、一緒に暮らし始めたワンルームの部屋で、はにかみながらそう告げる彼は、照れ臭そうに頭を掻いた。
もちろん、断る理由なんてない。一つ返事で受けたかった。
だけど………
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