1. 感情

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いつだったか仕事で失敗をした時、自分を責める私に修ちゃんが言ったこの言葉は、涙が出るほど嬉しかった。 けれど"自分を好きになる”ということは、私にとっては至難の業だ。  ずっとずっと自分が嫌いだった。 何もない自分。何もできない自分。何者にもなれない自分が、ずっと嫌だった。 周りと比較をしては、自分の劣っている部分をわざわざ再認識して落ち込んでしまう。そんなくだらない作業をやめられなかった。 どうして私は生まれてきたのだろう。 生まれてこなければ良かったのにと、これまでに何度思ったことだろう。 実の母がずっと、私に言っていたようにーーーー 「結婚しようか、要。…って言っても、俺の仕事がもう少し落ち着いてからになっちゃうけど」  付き合って5年目の記念日を目前とした秋、一緒に暮らし始めたワンルームの部屋で、はにかみながらそう告げる彼は、照れ臭そうに頭を掻いた。 もちろん、断る理由なんてない。一つ返事で受けたかった。 だけど………
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