1. 感情

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「要?」 「…本当に、いいのかな。私で」 「どうして?」 向きを変え、修ちゃんは私の正面に来るように座り直した。 その表情はひどく優しい。 「だって、修ちゃん本当は子供だって欲しいんじゃない?それなのに……」 俯いたまま、それ以上彼の顔を見ることができなかった。  私は子供を欲していない。 決して子供が嫌いな訳ではない。自信がないのだ。 人ひとりをこの世に産み放ち、そこから大人になって一人で生きられるようになるまで、きちんと愛情を持って育てることができるのか…。 自分にそれが可能なのか、全く持って自信がない。 もしかすると私も、母と同じ言葉を我が子に浴びせかけてしまうかもしれない。 そう考えるだけでゾッとした。 「うーん。まぁ絶対に欲しくないかと言えば嘘になるかもしれない。けれど、それは要も同じだよね?前に俺に話してくれた通り」 「うん…」 付き合って半年ほど経った時、私は修ちゃんに実の母と不仲であることを打ち明けた。それと同時に、将来的に自分は子供を育てられないかもしれないということも。 それで修ちゃんが離れていっても、それは仕方がないと思えたし、現に今まで付き合ってきた人の中にもそういう人はいた。 こればかりはどうすることもできない。どうにもできないことは諦めるしかない。 この時の私は、そう思っていた。
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