1. 感情

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「昔、修太郎が使っていた部屋がまだあるから、もし良ければ覗いていく?何か欲しいものがあれば持って行ってね」というお母さんの言葉に甘え、私は2階にあった彼の部屋に入らせてもらった。 「相変わらずシンプルだなぁ」 一歩、部屋に足を踏み入れた瞬間、思わず笑みがこぼれた。 元々あまりごちゃごちゃと物を置くタイプでないことは知っていたが、学生時代に使っていたという彼の部屋もきとんと整理がされており、特段物は少ないように見える。 「そういえばアルバムとか、全部実家に置いてあるって言っていたけれどこの部屋にあるのかなぁ…あれ?」 ふと、彼が使っていたであろう机の端に視線が向いた。 そこにはポツンと座る、ロボット型の人形が一体。 色はグレーで四角い顔に四角い体。そこからにょきっと伸びている糸のような細長い手足は、右手がもう肩の部分から千切れかかっている。そして頭からは謎の触覚のようなものが二本伸びていて、てっぺんには赤い玉が付いていた。 ‟昔ながらのロボット”という見た目をしているこの人形。…前に修ちゃんが言っていたのって、きっとこれのことだろう。 「子供の時にじいちゃんに買ってもらった人形がさ、にそっくりなんだよ。実家にまだあると思うから、今度持ってきて要にも見せてあげるね」 彼が小学生の時に亡くなった、大好きだったおじいちゃんに買ってもらったという人形。が家にやって来たあの日、興奮気味に且つ嬉しそうに話していた修ちゃんの顔が、瞬時に頭を過った。
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