1. 感情

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「これ、頂いてもいいですか?」 ロボットの人形を手にリビングへと戻った私の姿を見て、その場にいた彼の家族は皆懐かしそうに目を細めた。 「修太郎が子供の時に一番大切にしていた人形ね」 「要ちゃんに持っていてもらえるなら、きっと修太郎も喜ぶわ」 口々にそう語るお母さんとお姉さんに見送られ、私は玄関口へと足を運ぶ。 きっと修ちゃんが本当に大切にしていた人形なのだろう。もうくたくたになっているその人形を握りしめ靴を履き、お母さんたちへ礼を言おうと振り返ったその時、 「要ちゃん」 ふいに、リビングからお父さんが顔を出した。 「これ、持っていきなさい。好きなものがあればいいんだが…」 控えめに差し出された紙袋を受け取ると、そこにはコンビニやらスーパーで買ったと思われるスイーツ、簡単に食べられそうな食料品が大量に入っていた。とても一人では食べきれなさそうな量だ。 「わぁこんなにたくさん!ありがとうございます」 申し訳なさとありがたさで、この時ばかりは私も精一杯に笑顔を作ってみせた。そんな私にお父さんは「こんなことになって、すまなかったね」と、消え入るような声でそう告げた。
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