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「そちらは契約書と、この感情育成ロボットの説明書が合わさったものになります」
「「感情育成ロボットぉ??」」
さも当たり前かのようにそう口にする店長に対し、私達は声を揃えて首を傾げた。
まるで耳にしたことがないネーミングだ。しかし私も彼も、流行には疎い。もしや私達が知らないだけで、若者の間ではメジャーな代物だったりするのだろうか。
「はい。実はこちらの商品は海外から輸入されてきたもので、今も試作品の段階らしいんです。なのでまだ世に知れ渡ってはいません。発案者も海外の有名な研究者の方で、その方曰く‟様々な国で、職種も年齢も違う様々な人によって育てられることにより、ロボットの性格に差や違いが出るのか”。そのデータを集めるため、無作為に送り込まれたらしく……」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!育てるって…、性格って?だって、あれはロボットですよね?人工知能とか、そいったものですよね?」
店長の言葉を遮り、私は座ったまま身を前へ乗り出した。
今の説明だけを聞くと、なんだかとても怖いものに感じられる。だって、そんなのまるで……
「なんか、人間の子供みたいですね。その感情育成ロボットって」
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