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修ちゃんとの出会いは5年前の冬、その年の初雪が降った日。
「あら、新しい方?こんな時期に珍しいわねぇ」
私が働く介護施設
【あいの里 フラワーホーム】
そこに介護用品を取り扱う会社の営業マンとして訪れたのが彼、牧野 修太郎だった。
「はい、先月までこちらの担当だった酒井が家庭の事情で急遽職場を離れることになりまして…」
以前までこのエリアを担当していた酒井さんは50代くらいの男性。
物腰が低くとても感じの良い人だっただけに残念だ。そういえば前回発注をお願いした際、田舎に住んでいるお母様の体調が良くないだなんて言っていたっけ…。
夜勤スタッフへの引き継ぎ事項を記帳していた私は、事務所から首だけを伸ばして玄関口を見た。
「(へぇ…)」
ーーーー初めて彼を見た時の印象は ‟笑顔”
作ったような、偽りの笑みではない。
彼が相手に向ける表情は、心からの笑みに見えた。
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