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「やっぱり!!それならちょうどいいじゃない!今度二人でご飯にでも行ってきなさいよ」
「「え?」」
二人声を揃え、私達は同時に池田さんの顔を見た。
何がやっぱりなのかもちょうどいいのかも分からないうちに、池田さんは一人、満面の笑みで話を進めていく。
「ほらほら大澤さん、この前駅の近くにできた新しいパスタ屋さんに行きたいって言ってたでしょう?」
「はぁ、まぁそう…ですねぇ」
「牧野さんと一緒に行ってくればいいじゃなーい!ねぇ、牧野さん?」
そう言うと、次に牧野さんの顔を覗き込んだ池田さんを前に、牧野さんは二度瞬きをした。さらりとした一重瞼の目元は、無表情だといまひとつ感情が読み取りにくい。
「い、いや、でもご迷惑じゃ…」
彼の返答を聞く前に、私は低姿勢で二人の間に入ろうと試みる。
なんとなく『断られたら嫌だな』と、この時は瞬時にそう感じてしまったのだ。
「いえ、ぜひ!僕で良ければご一緒させて下さい!」
「え??」
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