第1章 『たい焼きの数えかた』

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青年の澄み切った瞳が、僕をわずかに断罪しているようで__咳払いをしてごまかす。 「まぁ、あんな自信のない親父が見れたから【過去】で良かったのかも。おまけに、その理由が僕だし」 健全そのものだった青年の微笑みに、数%の底意地の悪さが混ざり合う。 「親父、本当に厳しかったんですよ。口答えしようもんなら、すぐボコボコにされて。今じゃ考えられない、あっ、今っていうのは未来のことじゃなく過去のことで。今、この時代っていう__」 「大丈夫です。分かりますよ」 そっと助け舟を出す。 考え出すと止まらないからだ。 それと同時に、楽さんが拳を振り上げる様子がまざまざと容易く浮かんでくる。きっと、楽さんも必死だったんだ。子育てという未知の大海原に放り込まれ、培ってきた人生とも戦っていたに違いない。 「小さい頃はまだ良かった、怖かったんで。でも中学に上がるとガチでやり合ったことがあって。もう70越えてたんでイケると思ったけど、半殺しにされました」 「半殺しに?」 「それが悔しくて、商店街の窓ガラス全部叩き割ったことあったなぁ」 「えっ⁉︎」 僕はぎょっと身を引いた。
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