第2章 『頭から?尾っぽから?』

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「でも一応、心理テストとかあるんですよ。頭から食べるか、尾っぽから食べるかで性格が分かったり」 これは結構、有名な話だ。 当たっているのか信憑性は分からないけれど、頭から食べるひとは楽天家で自信家。負けず嫌いで頑固。 「くっだらねーな!」 バッサリ斬り捨てると、源さんはたい焼きにかぶりつく。 もちろん、頭からだ。 「頭でちゅねー」 楽さんも、頭からがぶりといく派だ。大口を開けて喰らい尽くす様とは裏腹に、胸元の大志くんに向けて目尻は下がりっぱなしだけど。 たい焼きを尾っぽから食べるひとは、慎重で繊細な性格だという。 「このぱりぱりがいいんだよ」 亀さんは尾っぽから。 なんとなく、当たってるぽいけど__? 「ふーっ‼︎」と猫舌の吾郎さんは、半分に割ってからあんこだけ啜る。さすがに選択肢にはない食べ方だ。 ちなみに僕も、こう見えて頭からだったりする。 「しばらく大繁盛だな」 源さんの言葉に、なんて答えていいのやら。 忙しいのは嬉しいけど、流行りは一過性のものだし、常連さんが買えなくて帰ってしまうのも心苦しいし。 まぁ、でも昼間は関係ないな。 そう安心していたのに__。
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