白い手袋、緑のライン

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 快晴の空を、冷たく乾いた風が渡る。典型的な、冬の太平洋側。  夕べの勝郎さんの話を頭の隅で転がしながら、明るい沿線の街並みと行き交う電車を眺め、走る。  山手線や京浜東北線とすれ違い、日暮里を出たところの長いカーブで、からだをゆっくり傾ける。地下鉄のくせに地上を走る千代田線に驚き、「ひたち」と「ときわ」に挨拶する。つくばエクスプレスを横目に見ていると、頭上を京成や伊勢崎が駆け抜けていく。  西に傾き始めた太陽が、車体をほんのりオレンジに染め始めた。  上野へ向かう上り線。今日も常磐線快速ライフ満喫、と思っていた僕の中に、突然、怒鳴り声が響き渡った。 「謝れよ!」
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