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ぼくのすぐ後ぐらいに店に入ってきてマスターと談笑していたのだが、それも一頻り終わった様子のタイミングだった。
「いや、まぁ、淋しい訳ではないんですけど」
気圧されながら答え、三杯目のオン・ザ・ロックを舐める。まさか誘われてしまうのかと幾分身構えていると、マドセンはぼくの背中をどやしつけながら言った。
「ノンケ襲ったりしなわよ。可愛い子がいるの。紹介したげる。ロハで」
これはぼったくりバーの手口に違いない、とますます肩を怒らせ俯いたぼくに、マスターはそっと言った。
「世の中、そんなに棄てたもんじゃないですよ」
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