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ジョイ
「ほら、こっち」
意外にどっしりとした足取りで歩くマドセンに手招きされ、ぼくはゴールデン街のひしめき合うような建物の路地から路地へとついて行った。少し下ったような細い通りに出た。
そこに、彼女が立っていた。
棒切れのような女の子だった。すらりと背が高く、痩せていて、ブリーチして傷んだ金髪をディップで撫でつけ、外はねにしている。首にはとても細いゴールドのネックレスをしていて、本物か模造か、小さな真珠がぶら下がっていた。色も白く、瞳の周りのきついメイクと赤い唇が夜の闇にそこだけ浮き上がるように見えている。
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