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「心配掛けたのは悪かった。でも俺は直接人間を襲ったりしない。だから大目に見てくれないか?お前を……裏切りたくないから」
「え?」
「前に…皓太言ったろ。 “レイは良い吸血鬼でしょ” て。それを踏み躙る様な事はしたくなかった」
俯けていた顔を上げる。
そこには真剣な表情で俺を見る一人の美しい吸血鬼が居た。
今なら言っても良いだろうか。
言葉にしても許されるだろうか…
「…黎……血が飲みたいの?」
「ん?まぁな…それに越した事はないからな」
「…………んで……」
「え?」
「……俺の血を……飲んで…黎…」
一度目を閉じ深く息を吐く。
再び開けた目で真っ直ぐに黎を見つめる。
「黎、俺の血を飲んで…」
「…皓太……」
刹那の後、抱き締められ押し倒される。
覆い被さってくる体を抱き締めながら首筋に微かな痛みを覚える。
黎の体からは初めて逢った日と同じ様に花の様な蜜の様な甘い香りが漂っていて、俺の全身を包み込んでくれた。
黎の傍に居られるなら、それで良い
黎とずっと一緒にいられるのなら…
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