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with you ①
その人と出逢ったのは、バイト先からの帰り道だった。
「お姉さん、具合悪いの…?」
「……」
道路沿いのガードレールに寄り掛かる様にして座るその人はぐったりして見えた。
「…大丈夫?お姉さん」
「……俺は男だ…」
「…大丈夫ですか?…お兄さん」
近くの街灯に照らされゆっくりと上がった顔は、青白くてとても大丈夫そうには見えないけれど、息を飲むほど美しかった。
「…お前、歳……幾つだ?」
「……15、です…」
「…ちっ、幼過ぎるな……」
「え?」
「何でもない。子供はさっさと家に帰れ」
面倒臭そうに手をひらひらと振ったその人は、けれどとても放って置けそうになくて
「あの…誰か人を呼んできましょうか?それか…救急車とか…」
「警察も病院も嫌いなんだよ」
「でも…」
「いいから放っとけ」
鬱陶しそうに顔を背けた人にこれ以上掛ける言葉も無く、その場を離れた。
でも…
数歩歩いてその道を引き返す。
目を閉じ項垂れる様に座り込んだままの人の前で再び立ち止まった。
「……あの…」
「…何だよ、まだ何か用か?」
どうしてだろう…何故だか放って置けなかった。
「あの、うちに…来ませんか?」
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