クリスマスイブ

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なんとか7時15分頃、待ち合わせのカフェに到着した。 「いらっしゃいませ。一名様ですか。」 「いえ、待ち合わせで…」 店内を探すと窓際一番奥にこちらを向いて座っている雅樹を見つけた。 「あ、いました。」 水の入ったコップが載ったトレイを持つ店員さんが後ろからついてくる。 雅樹のいるテーブルには、すでに水のコップがふたつあり、先に注文してくれていたのか雅樹のブレンドとオレンジジュースが置かれていた。 「ごめんね。お待たせ。先に頼んでいてくれていたんだ。でも時間が分からなくても私もコーヒーの方が良かったかな…」 雅樹の前に座りながら、そう言っていると優菜の前に水のコップが置かれた。 「あれ、水が一個多い?」 「ご注文は。」 「カフェオレ、ホットで。」 店員がカウンターへ戻ると雅樹が、冷めていそうなコーヒーをぐっと一気に飲み干した。 「優菜、別れよう。」 「は?何、急に…」 「実は他に好きな子が出来た。優菜は、最近仕事忙しくて全然会えないのに平気みたいだったし、俺たちもう半年以上何もなかっただろ。たぶん優菜の事、もう女として見れてなかった。優菜ならひとりでも生きていけるだろ。でも若奈は、彼女は俺がいないとダメなんだ。だから、別れてくれ。」 雅樹に一気に言われたことを優菜は下を向き、頭の中で反芻していた。
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