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雅樹たちが去った後、カフェを重い足取りで出た優菜は、恋人たちが楽しそうに歩くイルミネーションで飾られた遊歩道をとぼとぼ歩いていく。
どこの店もクリスマス仕様で、楽しそうな雰囲気が伝わって来て、とても今の気分のままじゃ立ち寄れない。
大学進学時に上京して来てから、一人暮らしを始め、こんな時に誘える女友達も近くにいない。
いつも雅樹を最優先にしていた大学時代も仕事に打ち込み過ぎだから就職してからも、同僚何人かでランチは行ってもプライベートな話はしないし、たまの休みは全て雅樹との時間だったから親しくなる女の子なんていなかった。
《こんなんじゃ、友達なんかできないよね。》
でもさすがにひとりアパートでクリスマスを過ごしたくない。
ふらふらしていて目に入ったバーになんとなく足を踏み入れていた。
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