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儚げな微笑み浮かべて、消えていく。
僕に何を伝えたいの?
君は、どうして、
そんなにも壊れそうな笑顔で、僕を見つめるの?
あと少しで触れそうなのに、
捕まえようとすればするほど、
君は夏の陽炎のように、ゆらゆらと揺れては、
音もなく、消えてゆく。
僕に、淡い恋の香りだけ残して……。
君とは、本当に良く出会うね。
学校に向かっている電車の中で。
昼休みの窓際で。
夏の木漏れ日の射す校庭で。
家の近くの書店で。
月明かり浴びた夜の公園で。
君は、もしかすると………。
でも、それでも、僕のこの気持ちは変わりそうにない。
この陽炎の恋は、
淡くとも、無くなることはないんだよ。
君の髪に、
その白い手に、
あと少しで触れそうなのに、
いつでも、するりとすり抜けて、
幻のような余韻だけが残るんだ。
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