第二章

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第二章 師匠6 とんでもないスピードで、景色が流れていく。 私は今、竜車に乗っていた。 竜車に乗れて良かったね。って? 確かに竜車には異世界来る前から乗りたかったし、異世界来てからも乗りたかったけれども。 でもこれは竜車に乗っている..とは言わない。 ドラゴンが運んでいる荷物にしがみついているだけだ。 どおりで、親切に竜車に乗せてくれたおじさんの腕の筋肉が凄いと思った。 勿論の事、落ちたら死ぬ。 だからこそ、必死でしがみついていた。 荷物にしがみついているだけでもう腕がジンジンと痛むのに、何度も何度も振り落とされそうになる。 ドラゴンさんにとって私はどうやらスピードを落とす邪魔な物なんだろう。 他にもたまに尻尾でツンツン突いてくる。 かなりの上空なので、酸素薄いから呼吸するのも苦しい。 ハハッ、竜車の乗り心地? 最悪ですね。 誰だよ未来は明るく私を待っている〜みたいな事言った奴。 全然待って無かったよ。こんなの死ぬかもしれない危険すぎる未来だよ。 降りて途中で休む事は出来ない。何故ならこのドラゴン、目的地に着くまで絶対止まらないのだ。 聞いた時、すっごい脳筋だな〜このドラゴン。って笑っていた自分を殴りたい。 と言うかそんな事より。 今私が解決すべきは引きこもってたせいで貧弱になっていた腕力である。 そろそろ腕が限界を訴えていた。 さっきまでジンジンしていたのに、今はもうそれすら無い。 痛みがなくなった…と言う訳でも無く、痛みに慣れた…と言った方が良い。 麻痺しているみたいだ。 精神状態もかなり参っている。 こんな苦しみが続くなら、いっそ手を離してしまえと。 でもそれを超える生存本能が私の命を繋ぎ止めていた。 まぁつまり。結論としてはこのままでは落ちて死ぬってことか。 それに1日中騒いでいたので疲労が溜まっている。 だからとんでもない睡魔が私を襲っていた。 睡魔に負けて、意識を手放した瞬間、腕の力も抜けるだろう。 雪山のドラマでよく見る 「寝るな!寝たら死ぬぞ!」 って言うの、まさかこんな所で体験するとは。 唯一良かった事と言えば、思考力だけは落ちてないってことかな。 さてと。腕が限界の山を越えようとしているので、私は応援しているか。 それか…… (エリクサー) 万能薬くんをリュックから命懸けでとる。 片腕でバックをずらし、開けるのも命懸けなので両サイドの隙間からなんとか1番上に置いてあったのを取り出した。 万能薬くん1番上に置いてよかった…… 万能薬くんのコルクを口で開ける。 そして両腕に優しくかけて、伸ばした。 気分は肌に肌荒れ防止のクリームを広げている気分である。  たちまち効くエリクサー。 腕の痛みが全て引く。 余裕が出てきたので、エリクサーを何とかバックに戻せた。 束の間の安らぎの後そしてまた、地獄が始まる。 ふと、ツツーと何かが額から流れ出た音で意識が覚醒する。 なんだと思ったら、汗だった。 夜はかなり気温が落ちるそうなので、風も強いし寒いと思ったのだが、逆に暑い。 汗ダラダラだ。 何か考えて気を紛らすか。 じゃないとまた意識が飛んで、今度は死にそうだ。 暑苦しい。 暑苦しいと言えば…… 私はさっきから必死すぎてシャットダウンしていた耳を立ち上げる。 「嬢ちゃん嬢ちゃん、竜車の乗り心地はどうだい?最高だろ!!みんな怖がってのらねぇんだよ竜車。夜景が綺麗だし。こんなの落ちて死んだって良いって感じるくらいだろ!!!みんな大袈裟なんだよ。こんな荷物にしがみつくぐらいどおってことないのに。あっ、あそこあそこ!!!!見てみな嬢ちゃん。山があるぞ!!!!!おおぉ!!宝石みたいだ!!ほらほら嬢ちゃん嬢ちゃん!!!!!!!!」 隣にいるおじさんが暑苦しい。 確かに、夜景は綺麗だよ?でもな、いつ死ぬか分からない状況でよくそんなに呑気にしてられるな。 おじさんも荷物にしがみついているはずだ。それに竜はおじさんのことが嫌いらしく、私よりも激しく尻尾でつつく。 なのにあんなにスマイリーな笑顔を浮かべて飛行しているのを見ると、頭がおかしいのではないかと思い始めた。 曖昧に微笑んでおじさんの方を見る。 「確かに綺麗ですね。えーと何か凄いです。」 「だろッッッッッ!!!! あそこはなぁ、竜の生息地体だ。竜は綺麗なもん集めんのが好きだからな。行くとこんぐらいのでっかい宝石がある。そりゃあ見事だそうだ。勿論、風の噂で聞いた程度で実際に見に行った事は無いんだがな。 あぁあと、登り人っとかって言う人々が暮らしているそうだ。嬢ちゃん、勇気があるから一回行ってみたらどうだ?」 おじさんは両腕を広げて石の大きさを表す。 両腕広げたら落ちるのではないかと思ったら 口でしがみついていた。 ってか竜の住処なんぞに行ったら食われて死ぬわ!! 絶対行かない。 だが、一応嘘を言っておくか。 「そうですね。機会があれば。」 「うんうん。だよなぁだよなぁ!!!! それでな………………」 おじさんの話はまだまだ続きそうだ。 仕方ない。暇だし聞いているか。 あー暑苦しい。 それかステータス見てよ。 詳しく見てなかったしな。 「ステータスオープン」 小さく呟く。 真っ黒な画面が表示されるとともに、 ステータスの所に新スキルの表示が出ていた。 片腕を頑張って延ばして押す。 すると、ピコンと音が鳴り新スキル名が出てきた。 それを見た途端に私は笑顔になった。 発動のボタンがあったので押す。 すっと腕の痛みが消えた。 「嬢ちゃんさっきから何か変な音したんだが、何かやってるのかい?」 そうおじさんに聞かれたので適当に答えた。 「えぇはい。あとおじさん、そろそろ私寝ます。」 すると、おじさんは急に慌て出した。 「じょ嬢ちゃん、今寝たら死ぬよ?嬢ちゃん?おぉーい嬢ちゃん、嬢ちゃん!!!!」 「流石に隣で死なれるのはおじさんも目覚めが悪いって言うか……..」 やばい睡魔が………… さすがに…..今は,……っとかって おじさんが何か言ってるけど聞こえない!! 私はもう眠いし疲れたんだ!!!! 耳をシャットダウンして、私は意識を手放した。
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