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第二章 師匠3
スキル、スキルー!
ワクワクしながら、青みがかった黒い画面を見つめる。
ステータス内容は私が選んだスキルが書かれていた。
属性は水。
ジョブは無職…か。知ってるからわざわざステータスに表示せんでえぇよ女神様。
スキルは
記憶
創造
気配探知
言語翻訳
危険探知 だ。
記憶 創造は私が選んだスキルで、気配探知 言語翻訳は女神様の召喚サービス。
あと見慣れない危険探知……?
こんなスキル見覚えないぞ?
まさか…さっきの窓からジャンプで獲得したのか?
嘘ぉ。
あれは危険だと分かってやったのに。
確かに危険だったけども。
まぁ結果オーライだろう。
だが1つ分かった事がある。
このスキルでは、部屋に戻れない。
知ってだけどね?
事実を突きつけられると、心が痛い。
衛兵に頼んで部屋まで連れてって貰え?
出来るけどな…これまでの苦労を考えると…したくないんだ。
取り敢えず、今日の所は先生を探そう。
そんでもって、野宿だ。
金は持ってきたからまぁ何とかなるだろう。
野宿経験は一応ある。
何で有るかは聞かないで欲しい。1回思い切って家出した事があるだけなんだ。
気を付けるのはロリコンと怪しい人。
ついでに、何か絡んでくる酔っ払い。
あとは詐欺かな。
異世界はもっと気を付けて野宿しないとな。
モンスターとかにも。
よろっとよろけつつも立ち上がる。
地面にさっきまで座り込んでいたので少し汚れたが、大丈夫だろう。
それにこっちの方が都合が良い。
私の格好を見る。
支給品のワンピース。所々少し落ちた時に破れたらしい、ボロボロに見えなくも無い物を見る。
まさか、今日の朝に召喚された勇者の気の弱そうな巻き込まれが、その日のうちに部屋からバンジーをした挙句こんな事になっているなんて誰も思いもしないだろう。
設定はこうだ。
魔物に両親を殺された私…名は異世界っぽくホォグだ。
は、魔物に対抗しようとし、冒険者を目指すが弱すぎて魔物に多打ち出来ない。だからそんな私が有名な魔法使い様に弟子入りしようと城門まで平民が王城に来るなど無礼と知って此処まで来た。
もう此処まで来たら合わせて下さるまで帰らない。
そう言う設定だ。
我ながら下手な設定だとは思う。
だが、これくらいしか方法は無さそうだ。
それに私は、有名な先生の名前さえ聞ければ良い。
あとはどうにかする。
私の芋演技で傭兵や、騎士たち、そしてまだ見ぬ先生を騙せるかどうかは知らんが。
それに怪しさ満点だ。
だが折角だし、異世界初日から楽しんでいこう。
城壁を伝い、王城のやけにどデカい城門まで歩いて行く。城門、城門らしきと言った方が良いか。召喚されてすぐ、王城の周りにある建築物や構造は把握して置いた。記憶のスキルを使ったので、どこら辺に何があるのかは分かっている。
記憶通り、
白い壁からやっとクリーム色の壁が見えてくる。
この城は真っ白な城壁と、金色や暖色系の色が使われている正面から見たヤケに異世界異世界している見た目が特徴だ。
あと、燃える様な紅蓮の旗も。
美しい彫刻が彫られている噴水。周りを囲むのは花々。それに似つかない無骨な黒い、黒い城門。
心の準備はオーケー。さぁ行こう。
顔色を変えて、口調も変える。
大丈夫。私は演劇部に1年くらい入ってたし。恐怖はないが、冷たい汗が頬を伝う。少し体は緊張している様だ。
たったったと城門までかけて行く。
予想通り、門番の騎士に止められる。
さあどうなる?
「何用だ。此処は王城と知っての事か。要件を言え。 」
冷たい眼光が私を射抜いた。
だが私はそこで引かず何かを決心した様に唇を噛む。
そして私は身を強張らせた。
「魔女様に合わせて頂けませんか?」
“魔女”とは私が考えた。
ザ適当。
有名な魔法使い=王宮魔導士
王宮魔導士の女の人が良い=魔女
いるかどうかは知らん。
そもそも魔導士に女性がいるかどうかも分からないからな。
召喚時に見た黒クローブの人達は顔が見えなかった。多分あの人達が王宮魔導士だと思うんだが?どうなんだろうか。
勢いよく顔を上げて言う。
「両親が魔物に食われて、復讐したいんです。その為に、その為に魔女様に合わせて頂けませんか?」
少し押し黙り、体を震わせた。
「お願い..します。」
上目遣いに騎士を見る。
どうだ私の芋演技!
きけ!きいてくれ!
あんまりやりたくないのだが、私の異世界生活の為だ。
そうしていると、騎士は言った。
「魔女メルセン様は此処にはいない。
昨日召喚の儀が終わり、バビロンの地に帰られた。」
バビロン?どこやねん。
「バビロンの地…そんな……」
適当に肩を震わせておく。
「それに魔女様はお前の様な不作法者に会う訳が無かろう。すぐさま此処を去れ。」
そう言われたので、だっと駆け出し逃げる。
後は逃亡。
全力ダッシュではないが小走りで走り去る。
でもいい事が聞けた。
騎士さん流石に私の事をいつまでも見ていないと思うので警戒しつつも”怯えて逃げてしまった少女”の仮面を破り捨てる。
次は街か………バビロンの情報収集をしよう。
城の周りにある森が見えてきた。
此処を抜ければ王都がある筈だ。
魔物が生息していない事を願おう。
足のスピードを早める。
もう太陽は真上に登っていた。
さっきまで朝だったのに。
………………………。
急がなくては。
日が暮れる。
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