勇者召喚で一緒にやってきた女友達の妹の話。

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序章 此処は私立関前中高一貫校、高等部西門前。 今日は早めに部活が終わったので、今から帰ろうとしている所である。 隣にいるのはお姉ちゃんとその友達だ。 私自身は友人が居ないので、姉と一緒に帰っている。 歩いていると、学校の前にある坂にさしかかった。 西日が差している灰色のコンクリートの地面に影が立ち上りゆらりと揺れる。 夏だからか、熱気が下からも横からも上からも漂ってきた。 夕方なので午前中に比べるとマシな方ではあるのだが体が早く家に帰ってクーラーの冷気を浴びたいと足をせかしていた。 ミンミンゼミの五月蝿い合唱曲が、私の精神をガリガリと削っていく。 何か話す気にもなれず、黙りこくったまま下を向く。 姉の友人らは元気なもので、汗ダラダラになりつつも走り回ったり、何か話していた。 どうせ内容はくだらない物である確率が高いので聞く気にはなれず夏服のポケットからイヤホンを出す。 そして耳につけてスマホを起動する。 気分的には爽やかな曲が聞きたかったので、なんとなくそれらしいものを検索して聞いていた。 そんな時だった。 突然足元が光りだす。光はお姉ちゃん達の方から広がってくる。 何やらの紋章が浮かび上がり消えて、眩い光の中に意識が消えていくように飛んでいく。 逃げる暇も何か考える暇もなかった。 「う、ううん」 うめき声が口から漏れる。 恐る恐る目を開けるとそこに広がっていたのは………白い砂漠の様な物。 私は気づいたら、知らない世界に来ていた様だった。
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