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ライラを守るため出陣
異能な転生者への道
俺が魔法師部隊を率いて魔物討伐にあたったけど、情報と違いあまりにも多くの魔物が出現して、俺たちを襲い、率いた部隊の半数を失って俺は、謹慎処分になってしまったので、しばらくはライラだけの護衛をすることになった。
その期間は2年間だ。
その2年間のうちに俺とライラは、結構、仲が良くなったと俺は思う。
あとで思ったけど、案外、その期間をもらったのかもわからない。
*
魔法師部隊の総司令官が引退することになり責任を取らされていた俺が、総司令官に呼び出された。
総司令官の扉の前に立って、服装を直してから扉をノックする。
「アルベルトであります、お呼びにより参上しました」
「入れ」
「失礼します」と言って扉を開けて中に入って、扉を閉めた。
総司令官は高齢で、70歳を超えているみたいだけど、まだまだ現役ができるくらい恰幅が良い。
「ご要件は?」と総司令官に尋ねると「まぁ、そこに座れ」と言われたので、椅子に腰掛けて言葉を待つ。
「なぁ、アルよ、俺は、そろそろ引退しようと考えている」
「えっ、総司令官には、まだまだ現役を続けて、我々を鍛えて頂く必要がありますが」
「そう言ってくれるなよ、結構、俺も高齢になってな、職務が負担になってきた、王にも許しをもらっているのでな‥‥‥そろそろ引退だ」
「残念です、総司令官」
「そこな、俺の後釜には、お前を推薦しておいた」
「えっ、私ですか?」
「うむ、貴殿は魔法師としても、俺よりも上だろう、しかも統率力においても、部下からの評価がいいし、指揮官には向いていると俺は日頃から訓練の時に見ている」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「そこで、ぜひ、アルに俺の跡を継いでもらいたい、了承してくれるか?」
「自分はまだまだ未熟な身でありますし、貴族でもないですから、もう少しは総司令官にお願いしたいと思っておりますが」
「アル、本当にありがとう、そう言ってもらえる自分が嬉しいよ、だから、こそ、アル、君に跡を託すことにした、いいな」
「‥‥‥はい、わかりました」 この指揮官は俺のことを買ってくれている数少ない上官だったので、俺は涙が出てきた。
また、一人、俺の理解者を失うのか‥‥‥時には父親のように接してくれていた人だ。
涙を拭きながら「申し訳ありません」と言って顔を上げると相手の手が、そこにあった。
俺は両手で総司令官の手を握り、また、泣いてしまった。
*
魔法師の総司令官が引退する噂が流れて、誰が、跡を継ぐのか話題になっている。
王と司令官から、直々に俺に命令が降った。
謹慎中も時間があったら、魔法師部隊に顔を出すことをしていたけど、いまだに俺を知っている隊員は隊長と呼んでくれる。
前司令官が引退して、俺が魔法師部隊の最高司令官になったけど、その地位は俺には、ふさわしくないものだった。その地位が将軍だからだ。
なんだか特例中の特例で一気に、大尉から上り詰めてしまった、たぶん、これもライラの意向が反映したのかもしれない。
俺一人の力じゃない。
でもライラには言うべきことじゃないけど責任が重く感じる。今でも俺はライラの横の部屋に住んでいるけど、あれから事件も起きていない。
俺も21歳になったけど、この歳で、魔法師部隊を任されるのは異例のことだけど、俺も、それから更なる努力をした。
部隊を見た目だけではなく、俺が一人一人の能力を確認して再編成をすることにした。
そして練習中も、出向いて、指導を行うことも多く、指導した通り、魔法をやってみると、威力が増したり、正確性が伸びたりしたので、評判は良かった。
最近は、俺が一人で練習しているところを見ていると、全員が俺の指導をしてもらいたいような感じになってきたので、上官に迷惑がかからない程度に指導したり、時には俺も混ざって練習した。
だって種類整理ばかりだと退屈でしょうがない。
俺の魔法の威力を見せることも大切なこと、そして山での野外練習があるとA群、B群別れて戦闘訓練をする時に、俺も参加させてもらい、現場指揮官だったり、一兵士として参加したりすることをした。
でも大抵、あとで副官から呼び戻されたり、俺が参加すると練習にならないと言われたけど。
でも、時には俺の実力を見せるのもいいことだ。
部隊の多くの人と仲が良くなったように思う。
また連携をはかるために、剣士部隊と練習することもあるので剣士部隊の将軍と話をすることも増えた。
お互いが将軍だけど、剣士部隊の将軍の方が俺よりも上官に当たる。
剣士部隊の将軍は45歳で、俺は21歳、年齢からしても、上だし。
剣士部隊の将軍とも、部隊の配置などで話し合うことが増えて、少しずつ仲が良くなってきた。
なんだか、この人の方が父さんって感じだな、以前の魔法師部隊の司令官は、70歳過ぎていたし、おじいちゃんかな‥‥‥
*
国軍は剣士部隊と魔法師部隊の2つから構成されるから、宰相や王様とも、王子とも会う機会が増えてきた。
謁見の間のように話ができないような部屋ではなく、テーブルを囲んで話をすることが多くあった。
俺の直属の上司は王ではなく、宰相になる。報告書も宰相に持っていってもらう。
俺が魔法師部隊を指揮するようになって、雰囲気もずいぶん、変化して能力も上がってきて評価されるようになった。
そんな噂が流れたのか、ある日、王に呼び出された。
俺と宰相と、どうしてかわからないけど、ライラがいる。
俺は、どうしてライラが、ここにいるのか、わからずにライラの顔をみると、なんだか、俺の顔を見たライラは、顔を赤くして下を向いてしまった。
「??」
「来たか、そこに座ってくれ」
「はっ」俺は示された椅子に腰掛けた。
「今日、貴殿を呼んだのは、他でもない。
貴殿の魔法師部隊の功績を讃え、爵位を授与する。
爵位は、子爵とする。」
「‥‥‥」
「そして、子爵から、徐々に爵位を上げるだけの功績を立ててもらい、伯爵となった暁には、ライラと結婚してもらうこととする」
「えっ‥‥‥」俺は言葉もなかった。
俺はライラの方をみると、さらに顔を赤くして下を向いている。
王様が砕けた感じで
「実はなぁ、ライラに泣かれてな、貴殿と結婚したいと‥‥‥
わしは、ライラには幸せになってほしいもんじゃからな。
貴殿の才能は、全て熟知しておる、しかし、今は平民だからのお、すぐには無理なんじゃ。
だから型式だけでも手順を踏まんとなぁ。
どうじゃ、お主は、ライラと結婚してくれるか?」
「‥‥‥それは、もうライラ、あっ、ライラ姫さえ良ければ、私の方は問題ありません」
「そうか、そうか、良かったのうライラ‥‥‥」と言って王様がライラの方をみるもんだから、余計に顔を赤くして「もう、お父様、知りません」と言って顔を横にむけている。
話は終わり、俺とライラは部屋から出てきた。
扉の横には、護衛が立っているので、話すことができなかったけど、俺たちはライラの部屋に戻ってきた。
「もう、びっくりしたよ」
「ごめんね、アル」
「でも、君が俺のことを貴族にしてくれたんだね」
「だって結婚するなら貴族の人しか合わないっていうんだもの」
「まぁ、俺、平民だしね」
「ううん、アルは、偉くなっても威張り散らしたりしないし、変わることないから、それに、今でも努力しているでしょう」
「うん、まあね、できることはしておきたいからね」
「だから魔法師部隊の人たちも笑顔がいいのね」
「そうなの?」
「知らなかったの?」
「少しは感じていたけど‥‥‥」
「私、時々、影に隠れて、あなたを見ていた時があるの。
あなたに集まってくる部下の人たちの顔を見れば、わかるわ、部下に愛されているって、そんな人が悪いわけないじゃない、だからお父様に、お願いしたの、アルと結婚させてくださいって」
「そ、そうなんだ」
「そうしたらね、お父様、しばらく、黙っていたのよ。これは反対されるかもって」
「それで‥‥‥」
「そしたらね、いつ、お前が言い出すか、と思っていたって言ったのよ」
「えっ」
「お父様も、私がアルのことを好きだと思っていたのよね。
だから応援するから、アルを逃すなって言ってくれたの、嬉しかった〜」
「そ、そうなんだ」
「うん、アルと結婚できるなんて夢見たいよ、あの時、図書館であって、やっと、ここまできたわ」
「これもライラのおかげだよ」
「ううん、アルの努力の成果よ」なんてことをお互いが言いながら近寄っていき、顔を寄せて、俺たちはキスをした。
キスしたあと、あ互いの顔は真っ赤だ。
俺は恥ずかしさから「じゃ、仕事行くね」と言って部屋から出てきた。
「うん、アル、頑張って」とライラが声をかけてくれた。
*
まさか自分が、ライラと結婚できるなんて夢のようだ。
俺は天にも昇る気分になる。
ライラは、美人で可愛い、そして体も細いけど、胸だけは胸元が開いたドレスを着れるくらい大きい。
こんな美人のライラをもらえるなんて、本当に魔法が使えて良かったと思う。
小さな村で生まれたけど、両親に捨てられたけど本当についていた。
そしてライラと釣り合うようにと、部隊の魔法力向上で才能を認められ、俺は貴族になることができた。
なんて素晴らしいんだ、俺の人生はついている。
ライラと婚約することになり、堂々とライラの横に立つことが許された。
俺とライラが結婚すると言う噂は、すぐに広まった。
公式な発表はないけど、噂は先行して広まっていき街には号外がだされた。
*
部下からも祝福されて、お祝いまでもらってしまった。
「司令官、おめでとうございます」と副官から言われた。
「ありがとう」と俺
「以前からお二人の噂は立っていましたからね、今か、今かと思っておりました」
「そうなの?」
「はい、お二人で話されているところを見かけた時には、私もいい気分をもらっていましたから」
「そ、そう」
「はい、本当に安心しました、司令官は、平民だから、どうなるのか、やきもきしていたんですよ、儚い愛に終わるのか?と
いや〜、本当によかったです」
それを聞いて、みんなに見られていたのか? 恥ずかしくなってきた。
「さぁ、仕事、仕事ですよ」と副官
「うん、やろうか」
*
俺は軍の仕事が休みの日にライラとお茶会をしていた。
そこに息を切らしながら副官と斥候をしたいた者が、扉をノックする。
「司令官、副官ですが、調べに出していた斥候が戻ってきて大変なことがわかりました」と言う声がした。
扉を開けると、二人は息を切らしながら、ここまできたようだが、「どういう情報だ」と言うと
「隣国が国境をこえて攻めてきた様子ですが、どうも隣国のスタンリー王国ではなく、スタンリー王国を占領下に置いたガルシア帝国の侵攻のようです」
「すぐにいく」と部下に言うと、すぐに部下は走っていった。
俺は軍服に着替えに部屋に行くために、「ライラ、行ってくる」
「ええ、気をつけて、アル」
俺が部屋で軍服に着替える。そして着替えたあと、すぐに司令官室に到着して、状況を聞く。
今は、まだガルシア帝国と思われる軍は、ちょうど国境を越えたところ。その近くの村を襲っていると言う情報だ。
急ぐ必要がある、もう国境を越えていると言うことは、大変なことが起きている。
俺は指示を仰ぐために、お城の緊急作戦室に入ってきた。
まだ、はじまったばかりみたいで、準備しているところだけど、、俺が待っていると剣士の司令官がやってきた。
「どう言う状況だ、アル」
「私も今、来たところなんですよ」
「そうか」
俺たち二人は、待つことになった。
そこに王様が話をしながら宰相と数人の文官を伴いながら部屋にきた。
俺たちは軍のトップとして、ここにきているけど、副官は、まだ、ここにはきていない。
俺は文官の一人を捕まえて、連絡を頼んだ。
すぐに出兵できるように準備するように副官に伝えてもらう。
「おいおい、アル、戦争になるって思っているのか?」と剣士隊司令官
「多分、間違いなく戦争になっていくと思いますよ」
「おっ、お前が言うなら、俺の部隊も準備を整えるようにしよう」
剣士隊司令官は、そう言って走って部屋から出ていった。
今までのガルシア帝国の動きを考えると、いよいよ、このルーファス王国も戦場になってしまう。
俺はライラを守らねばならない。
ライラを守ることが、国を守ることにつながる。
しかし、ここにいても情報は、まだ集まっていないので、俺も部隊のことが気になるから、戻ることにした。
俺も走って部隊の状況を確認しにいく。
部隊が待機する宿舎に到着すると、普段とは違い、全員が、準備を整えているところだ。
杖を持つ奴は、杖を持っているけど、杖にも色々な種類があるから、それぞれが得意な分野が有効になる杖を持っている。
あとは荷物と水と食料、毛布、そして剣も、持参することをしている。
ここにいる全員が、戦争なんて初めての経験だ。
ここ最近は、戦争なんて起きていないから、、何をしたらいいかわかっていないから、必要最低限なものを持っていく。
まぁ、杖、食料と水と毛布、剣が最低限のものになる。
魔法師だから杖がないと戦えない。
食料と水がないと空腹と脱水で戦えない。
毛布があれば雨と夜の寒さに少しは良い。
剣は最後の手段のため。
そこに王様から、命令が降った。
魔法師部隊と剣士部隊は協力して、戦場に赴いて戦うことになった。
剣士が、前面に出て、魔法師が安全圏で魔法を放つと言うことを聞くと思うけど、そんなことはない、戦場に安全圏なんて場所はない。
と言うのも、前面では剣士と戦いながら、後方の魔法師を倒そうとするからだ。
剣士も倒されていなくなれば、あとは剣を使うことができない魔法師しか残らない。
その時の魔法師は逃げるか、捕虜になるか、自害するしかない。
じゃないと、なぶり殺しということもある。一気に殺さないで、ジワジワ‥‥‥と。
宰相から情報をもらったのは、いいけど、大した情報じゃない。
国も混乱しているから、しょうがない。
まずは現地に赴く必要があるから、部隊を率いて戦場の近くにテントを張ることにした。
つまり現地の司令官室みたいなものだ。
前線の随分、手前で、情報をもらいながら、指示を出していく。
「伝令、東の方が手薄で、攻め込まれているようです」
「よし、東に、第三部隊を増援で送れ」
「わかりました」
「申し上げます、中央が優勢で、押し返しています」
「よし、わかった、中央は、俺がさらに崩していくから、俺も出馬する」
「おいおい、アルよ、お前までいくのか、お前がいなくなると、俺、仕事しなけりゃならんのだが」と剣士の司令官
「ここは、お願いしますよ」と言ってテントを出てきた。
俺は、中央を今のうちの、もっと押し返して、それから東に応援に行くつもり。
押し返せる時に、もっと押し返して崩れさせる作戦に出る。
俺は馬に跨またがり、5人の魔法師を連れて走っていく。
「あいつ、自分が最高司令官だって忘れていないか?」と俺が去ったあと、言っていた。
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