第1章 異能な転生者への道

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プロローグ(前世のアルベルト編)2 遊んでいた木馬を取り上げられた。 俺が遊んでいた木馬が俺の手元から突然、奪われて俺は慌てた。 「もう一度、木馬をテーブルの上に置いて見るんだよ」 「 もう、あなたったら疑い深いんだから」 2人はもう一度、俺から木彫りの馬を取り上げてテーブルの上に置いた。 なんてことする親なんだ! 「 ほらアル、ここにあるわよ」とテーブルの上で馬を動かしたりして俺の注意をひこうとしている。 けれど、馬は動くこともなく、テーブルの上に乗っている。 「 何も起きないぞ」 「 おかしいわねぇ、さっきは、確かにアル(アルベルトの呼び名)の手元まで飛んできたわよ」 父親は、いくら待ってもテーブルに乗っている馬は動く気配もないので、もう待っていられなくなり仕事に行くことを考えていた。 「おかしいわね〜」と母親 「もう、仕事に戻るぞ」 家から出るために、テーブルの横を通り過ぎようとした瞬間に再び奇跡が起きる。 父親がテーブルの横を通り過ぎようとして、目が釘付けになってしまう。 その理由はテーブルから木馬がふわりと浮かんで、フワフワ揺れながら、俺のいる方向に向かっているからだ。 しばらくは二人は、言葉も出すことができずに口をポカンと開けているだけ。 気を取り直したのは2度、見た母親が先だった。 「 !、っほら、ほら、あなた見たでしょ」 「うん、見た、 見た、なんだか信じられないよ!」 「 でも間違いないわ、うちの子は天才よ、魔法使いになれるわ」 「うん、そうだな、やったな、やったな」 「じゃ、この子は、おじいちゃんの魔法の力を継いでいるのかしら?」 「そうかも、しれないな、俺には魔法の才能は無かったけどアルには、立派な魔法使いになってほしいな」 「ほんとうね、ねぇ、うちの子は偉大な魔法使いになる才能があるかもよ」 「そうだな、4歳で、魔法が使えるんだから、俺のオヤジでも、4歳の時には魔法が使えなかったかもしれないからな」 「そうね、さすがウチの子ね」 両親は、子供のアルが使った魔法に、たいそう喜んでいだ。 でも、俺はテーブルの上にあった、木彫りの馬が欲しかっただけ… でも、両親は、本当に喜んでいた。 というのは、その晩は、いつもと料理が豪勢だったから。 4歳の自分達の子供が魔法を使ったと言う出来事は、その日のうちに村中に広まってしまった。 もちろん広めたのは、両親の二人だけど。 よっぽど嬉しかったのか、得意げに村人に広めてしまった。 小さな村では、知らない人がいないくらい、俺は有名になった。 「おっ、魔法師のアルじゃないか、ほれ、リンゴをやろう」と村人 「今度、魔法を使うところ、見せてくれよ‥‥‥」とか、言われることは、多くあった。 と言うのは村では魔法を使う人はいなかったからだ。 俺が母親と一緒に村を歩いていると、村人は俺に食べ物をくれた。 しかし、徐々に変な噂が立ち始めた。 それは、俺があれ以来、魔法を使っていないからだ。 見たのは両親だけで、村人は俺が魔法を使うのを一切見ていない。 両親は、俺が、あれ以来魔法を使うことをしていないので、なんとか、もう一度、見たくて、色々なことをしたけど、両親にも、村人にも魔法を見せることはなかった。 村人からは、俺が魔法を使えることが、嘘じゃないかと思われ出していた。 「あの連れているアルが魔法を使ったって言うのは、ホラを吹いているんじゃないか?」 「ああ、俺も、そう思うぞ、あんな子供が魔法を使えるわけねえし」 「ああ、怪しいよな」 「自分達に注目を集めるために嘘ついたんじゃないのか?」 「おい、もう無視しようぜ」 「ああ、話さない方がいいな、嘘つきが映ってしまうと大変だ」 「ああ、そうだな」 「ギャハハッ」と大声で笑い合う村人 両親は、徐々に村人から変な目で見られて、話す人もいなくなり孤立していき、精神的に病んでいく‥‥‥ 俺はといえば、今、一番、興味があるのは、木彫りの馬よりも、外に出ること。 外に出て、走り回ったり、草の上に寝転がったりすることや、川に行って、冷たい水で遊ぶこと。 あんなに両親とも家から外に出ることが多かったけど、最近は、家から出れなくなった。 村人は俺が家から出ていると、ヒソヒソ話をしたり、指をさすこともあったからだ。 でも4歳の俺には、そんなことは、わかりはしない。 家の中ばかりじゃ飽きてしまう。 外に出たい、外で遊びたい、外で走りたい、川に行きたい。 家では両親は俺だけど家の中に置いて、二人して畑仕事をしている、その時には家には外から鍵をかけて俺が出れないようにしていた。 両親は雨の日でも家にいることはなく、なにをしているのか、俺に話すこともなく、夕方しか帰ってこなかった。 そんな俺の唯一の楽しみは窓から外を見ること。 家の中では、窓の下には木箱が置いてあり、俺は、いつも、膝立ちして外を見ていた。 両親が俺を外に連れ出すのは、日が暮れて当たりが薄暗くなってからだった。 夜になると、村人が歩いていることは極端に減り、俺は家の前だけ出ることを許された。 村人が歩いてくれば、両親は俺をすぐに中に入れた。 そんな生活が1年も続いたけど、俺は5歳になった。 5歳になったけど、いまだに魔法を使うことはないため、両親は、村人の目を気にしなければならない生活を虐げられることになり、徐々に昔の笑い合うような両親の顔じゃなくなってきた。 父親も母親も仕事から帰ってきても、楽しいおしゃべりをすることも無くなって、みんな黙っている。 肩身の狭い思いをしていたが、いつかは自分たちの子供が偉大な魔法使いになる夢は最後まで捨てていなかった。 6歳になっても、普通なら畑仕事を手伝うこともあると思うけど、俺は、いまだに家の中で暮らしている。 「お父さん、外で遊びたい」と俺が言っても 父親は「‥‥‥」と一言も話すことはない。 俺はわけがわからずに泣き出す「えぇ〜〜んっ」でも、二人は、泣いている俺には知らん顔。 いまだに一度も魔法を使っていないので、両親も期待が薄れていくが、村人から向けられた視線は、まだ、ある。 いまだに俺は外に出ることを許されなかった。 『俺は、それから親には話すこともしなくなってしまった』 徐々に家で両親が話をしたり、笑いが出るようなことはなくなり、両親ともプレッシャーから精神的な影響が大きくなり、夜も寝ることができなくなっていく事になる。 両親はベットには入るが、寝返りばかりしたりして、寝が浅いし、長く眠ることはできないみたいだ。 眠れないせいもあり両親とも精神的な病みを抱えていく。 * 天気の良い日に俺が家の中で窓から外を見ていると、そこにたまたま、通りかかった女性と目があってしまった。 その女性は俺と同じ歳のような女の子供を抱っこしている。 この女性は、俺は時々だけど見かけることがあった。 俺と同じ歳の子供と遊んでいる姿を見かけることもあるので。 その女の子の名前はリサと言うらしい。 家も俺が住んでいる隣だけど、少し離れている。 俺は、女の子と遊んでいる母親らしき人を見かけると、目で追っている。 女の子が何か、言えば、母親は、女の子に向かって笑いかける。 そんなことが俺には、新鮮だったことは覚えている。 ある日、俺は、その二人が通るときに、物珍しいような感じで窓にへばりついて見ていた。 俺が窓にへばりついてみていたので、それに気が付いたリサを抱っこした母親は、俺に近づいてきた。 「こんにちは、アルくん、この子はリサよ、よろしくね」とその母親が言う もちろん、俺は、何も言わない そうすると抱っこされていたリサは俺の方に手を伸ばして窓ガラスに触った。 窓越しに見える手は俺にとっても初めてでドキドキしたけど、俺も、何も考えもせずに、リサが触れたガラスに手を置いた。 ガラス越しに手の暖かさがあるような気がした。 これがリサとの初めての出会いだ。 というか、俺が引きこもってから、初めての人だった。 リサとリサの母親は、時々、俺に話しかけてくれた。 両親にリサの話をすると、両親は、窓を板で塞いでしまった。 もう、外を見ることもできない。 * そんな生活をしても、俺は8歳になったけど、窓も板で塞がったままで、部屋の中は昼間でも暗く、蝋燭の灯りだけになった。 家の中は真っ暗く、ジメジメしている。 俺が魔法を使ってから、しばらくして引きこもるような生活になり、俺の肌は白いままだ。 運動もしないから体は痩せてヒョロとしている。 もう俺から4年が過ぎて、俺は8歳になった。 4年も過ぎると、村人の噂はなくなっていき、隣のリサと遊ぶことができるようになった。 リサと遊ぶのは、本当に楽しい。 でも俺の体を数年の閉じこもり生活で、体力がなく、体も足も手も細いままだ。 全然、走ったこともないから、走ると足がよろけて倒れてしまうようなことがあり、リサから、アルってだめね〜と良く言われた。 「もう、アルって、走るのも遅いし、なにやってもダメね」 「リサが、早すぎるんだよ」 「何言ってんのよ、アルって走るだけじゃなく、木にも登れないし」 「あんな高い木なんて、登るの怖いよ」 「なに言ってんのよ、もう本当にしょうがないわね」 リサに年齢が近いのは、俺しかいなくて、よくリサに引っ張り出された。 リサは、俺に色々な遊びを教えてくれたけど、リサについていくことさえ、体力的に難しかった。 リサは、色黒で活発な子だから、俺とは違い、一人で木に登ったり、川で遊んだり、魚を取ったり、丘を走って競争したり、泥んこになって遊んだけど、いつも文句ばかり言っていた。 しかし、俺がリサと遊んだのも半年だけで、俺に大事件が起きる事になる。
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