9人が本棚に入れています
本棚に追加
第五話:ノーリアクション王!? 秋月朔夜
「おぉ~!? スケさん、かっわいいじゃ~ん!?」
姿見の前で呆然としていると、ひょっこりと顔を覗かせた太鳳が、目を爛々とさせながらオレのことを褒めた。
「自分でも意外……もっとちぐはぐな感じになると思ってた……」
「お前は体の線が細いし、顔も整っているからな。あとは髪を結って化粧をすれば完了だ」
「いいねぇいいねぇ! よっ! お龍ちゃ~ん!」
「やめてよもー」
太鳳に囃し立てられて、口元と腰の辺りがムズムズする。
ただでさえ女装なんて落ち着かないのに、その上可愛いとか勘弁してほしい。阿曇さんも「似合って当然」みたいな感じだし……。
『ガチャ』──ドアを開ける音がして反射的に振り返る。
顔を覗かせたのは朔と四楓院先生。
うわぁあああ……入るならノックくらいして欲しかった──!
なんで黙って開けるかなぁ!?
完全に気を抜いてた状態での不意打ちに、ぶわっと羞恥心がつま先から駆け上がる。
「どうよ⁉ めっちゃかわいくね⁉︎似合ってるよな!」
「ほぉ~! よう化けたなぁ。えらい似合うとるやない?」
「志賀は元々素材がいいですからね。柄も良かったんでしょう、体の細さも相まって小ぶりな花柄がよく映える」
どうしてだか太鳳が自慢げにオレのことをあとから来た二人に紹介すると、四楓院先生は心底感心したような声を上げたかと思いきや、普段でも見せることがないような満面の笑みでオレの全身を見つめる。
阿曇さんの言葉にも「そうですよねぇ。やっぱり素材がええんですね」なんて言いながら頷いてるし!
うぅ……そんなじっくり見ないでくださいぃ……。
最初のコメントを投稿しよう!