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「ほんと、剣道一筋って感じ。太鳳らしいっていうか」
「それっきゃ取り柄ないかんねー。あぁ、そんなかしこまんなくていーって! 足崩せよ、どーせあとで痺れんだからさぁ。ほいっ、プリンおまちどー! ナントカ庵よりぜーってぇウマイから!」
矢継早に言いながら、太鳳がプリンの入ったカップとコンビニで貰える透明のスプーンをオレの方に押し出した。
クリームが乗ってるとか焼き目がついてるとか、そういうのは全然なくて、表面は王道のクリーム色、底のカラメルは層薄め。冷蔵庫から出してきたばかりなのがわかるほど冷えている。
「あ、お茶お茶」
コトリと置かれた湯呑から立ち昇る湯気。
プリンに緑茶って組み合わせ的にどうなんだろう。なんていうか、おばあちゃんちみたいな組み合わせだな……って、ご馳走になるのに、そんなこと思っちゃいけないか。オレはスプーンを手にとって、プリンの表面に先をつけるとそのままゆっくり掬い上げた。思ったより固い。
ひと口含む──パッチンプリンみたいな、舌で潰すと液状化するような滑らかさじゃなくて、どっちかと言えば、ねっとりというか、もったりというか、濃厚な生チョコみたいな……。
甘さはそこそこ、要になるはずのバニラは香料感がすごい。これはこれでアリなんだろうけど、正直好みがわかれそう。璃宮庵のバニラカスタードプリンを凌駕できるかって言ったら、たぶん無理だ。
口の中のもったり感をもてあまして堪らず湯呑に手を伸ばす。
お茶を啜っていると、
「ウマイだろー!? かーちゃんのお手製なんだぜ! うちの店の看板デザートいっこ70円! 安い!」
好反応と受け取ったのか、爛々と目を輝かせて言う。オレが内心なにを思っているかも知らずに。
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