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大学の食堂でミルクティーを啜る峯は目の前の男の熱視線に耐えかね、目を泳がせる。
「ねぇ、その黙ったままじっと俺を見つめる癖やめてくんない? 何考えてんののかわかんなくて、俺、どうしてていいのか困る」
テーブルに残された左手に桐谷は手を添えて、わざと指でいやらしくなぞった。
「──早くお前の中に入りたい」
「ブッ! もっ、そういうのマジでやめて! 心臓が持たないんだって!」
峯は口から溢れたミルクティーを必死にティッシュで拭いながら誰かに聞かれてはいないかと、不安そうにすごい速さであたりを見回した。
「ふぅん、純情ぶっちやってぇ〜」と嫌味っぽく桐谷は伏せ目がちに笑う。
「ぶってない! それに……俺のことはお前が汚したんだろっ」
「うん、そう」
「バカっ!」
潔くからりと笑う桐谷に、うっかり心が震えてしまうのを峯は秘密にしておいた。
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