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──純情ボーイなんて誰が言ったんだか。
そんな男はこの世のどこにも存在しなかった。
その中身に触れるまで、峯の化けの皮にまんまと桐谷は騙されたし皮を剥がして触れた峯はどこまでも享楽的で蠱惑的で──今も目の前で悩ましく自分を妖艶に誘う白い身体を眺めながら桐谷は薄く笑う。
「あっ……そこもっとして、して……中、して」
「いいよ。何回でもしてやるから」
「すき、虎羽……好き……」
自分の中の気持ち良い場所をもっと擦れと何度もせがんではよがって、真っ赤に染まった唇を濡らして自分を貫く男の名前を何度も口にする。
「イく……っ、イッちゃう……っ、あっ、ああーっ!」
絶頂を迎えるたびに強い力で桐谷の雄を締め付け、早く自分の中でイけと繋がった場所だけで桐谷を誘う。なんだかすぐに出すのも勿体無くて、桐谷は何度もそこを強く穿っては少しでも峯の感触を長く味わおうと、自分自身を奥深くまで打ち付ける。
「やっ、だめっ、もっ、イったからぁ……っ、だめぇっ、だめっ、そんなに激しくしないでっ、虎羽っ、やらぁっ!」
峯は泣きながらかぶりを振り、シーツを握りしめて身体の中に出された男の熱に腰を震わせ、もうほとんど色のない精を自身の腹に吐き出した。
「あぁ──っ」
繋がった場所が小刻みに痙攣して、達したばかりの桐谷を未だに刺激する。
少し脳が酸欠気味になったせいか、目眩を覚えながら桐谷は峯の上に重なりその身体を強く抱き締めた。
肩に小さな頭を乗せて泣きながら絶頂の余韻に浸り、峯は乱れた息のままその身体に抱きつく。
「……やべ……、頭のネジ……飛んだわ……」
滅多に顔に汗をかかない桐谷の額にハッキリと汗が滲んでいた。紅潮しているその頬を見て、自分の身体に夢中になってくれた男に峯は今更ドキドキしてしまう。
「……虎羽のばか」
「凛の身体がやらしいのが悪い」
「もう……うるさぃ〜」
ペシリと力なく肩を殴られ桐谷は余裕なのか、口の端を上げた。
「なんか……今までとおんなじはずなのに、すごく気持ち良かった……」
峯はため息混じりにそう告げると、目を潤ませながら再び桐谷の肩へ頭を預ける。
「うん、俺も……」
「好きって……言葉にすると大っきくなって膨れるんだね」
「ん? チンコの話か?」
今度は中々の力で殴られて桐谷は小さく唸り声を上げた。
「って、マジで膨らんでるし! 虎羽ってばありえないっ」
「だって、お前が可愛いこと言うから、そりゃそうなるよ」
「なにをドヤ顔でっ」
「な? もっかいしよ?」
峯が返事する猶予もないまま再び狼は牙を剥く。
優しくて甘くて傷にもならないその牙を──。
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