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柚莉愛はマネージャーから止められているペッドボトルに入ったコーラをぐびぐび美味そうに飲みながらタブレットの上で素早く指を動かしていた。
「その子マジ詩人じゃん! 次の新刊でそのセリフ貰おうかな、ヤバい、マジエモい。もっかいゆって」
「言わねーよ」と桐谷は無糖の強炭酸を喉に流す。
「んだよ、ケチッ! あたしのオタクでしょ? あたしのじゃん!」
「いや、俺の同級生であってお前のじゃない」
「ほぉ……」と柚莉愛はピタリと指を止め、含みのある生ぬるい視線で桐谷を見た。
「まるでヤキモチみたいではありませんかぁ、桐谷氏〜」
「間違ったテンプレオタクみたいな喋り方すんな。それより少しは心が洗われたか? お前のことをこんなにも清らかに想ってくれてるファンが一人でもいたんだぞ。その歪んだ性格も何ミリかは矯正されたか」
「いや、お前に言われたくねぇわ」
「確かに──」
結局そんな柚莉愛と徒党を組んでいる自分は同じ穴のムジナ……とてもじゃないか峯のような綺麗な心はとっくにどこかに落としてきているのは確かだ──それこそ母親の子宮の中かもしれない──。
「峯くんかぁ、握手会でも多分会ってるよね。写真とかないの?」
「あるわけねーだろ、どのタイミングで普段口もきかねぇ同級生と写真撮るんだよ」
「えー、余計見たくなってきたぁ! 今度撮って来てよ、隠し撮りでもハメ撮りでもなんでもいいからさぁ」
「お前本当に少しは矯正しろ、そのエロ頭」
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