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私は今日、余命宣告を受けた。 たった一人海に投げ出されたような気がした。 何処までも真っ暗な深海に沈んで行くようで、 医者の言葉なんて微塵も入ってこない。 憤りが、孤独が、哀しみが、安堵が、波のように押し寄せては引いていく。その時、まだ自分の中に生きていたいという気持ちがあることに驚いた。長い闘病生活で涙も心も枯れたと思っていたのに。なんだか自分が浅ましく感じた。    「そう。もうお迎えがくるのね」 真っ白な病室に戻っても特にやることはない。窓に目を向ければ、枯れた木の葉が風に揺られて落ちていくのが見えた。私もああなるのだろうかと思うと、なんとも言えない気持ちになる。 「人は死に対して恐怖の感情を抱いていると死神学校で習ったのですが、貴女は違うのでしょうか? 」 凛としたよく通る声だった。 「だれ? 」 「私はゆま。死神です」 私以外誰もいなかった病室にふわりと風のように宙に現れたのは麗しい少女。 月の光のように輝く銀の髪と、黒曜石のような瞳が印象的だった。鮮やかな赤みを帯びた唇が、弧を描く。 「貴女様をお迎えにあがりました」
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