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「私は貴女を助けてしまった。
運命を変えてしまった。
私のエゴでしかありません。けれどどうしようもなく貴女に、ゆづりに生きていて欲しかったんです。
何度も読み返して、ゆづりの年齢が上書きされる度に泣きました。言葉を交わせずとも、会うことすら許されなくても。もう少し、もう少しと、命の輝きが消えないよう、祈り続けました。
けれどもう、私には変えられない……」
ぽろぽろと黒曜石から零れ落ちる涙をみて、私は我に帰った。
「泣かないで、ゆま」
透明な雫は止むことなく降り注ぎ、シーツに染みを作る。それすらも愛おしいと思った。
彼女がここにいて、心を持っている証ようで。
でも、
「じゃあゆまは、あの日からずっと私のそばにいてくれたのね」
「はい……、きっと最期になってしまうから、どうしてもゆづりとおしゃべりがしたくみたくて……」
それでも。
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