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Blue株式会社オフィスビル。大きなビルの中を借りているが占めているのはほとんどかPC。そして数名の社員がそのPCとスマホを操りながら仕事をしている。
「すまない、今日はみな出社してもらって。今日は青嶋が亡くなった件で警察が話をしたいらしい。」
上長の指示で社員はうなずいた。狩谷と物部が姿を現した。
その時だ。
パリンっ!
「!?」
皆の視線は音の方へ。何が割れた音だ。
「あ、…すみません…。つい力が入って。」
音の正体はガラスのコップが割れる音。長い黒から赤へのグラデーションカラーの前髪で目も見えない様な人物が手に持ったガラスコップは砕け、足元に散った欠片を集める。そしてそそくさと部屋を出ていく。その様子を狩谷はじっと睨んでいた。そして大きく鼻で息を吸い込んだ。
「彼は?」
「彼は赤石 獅子。最近、近くの街から引っ越し弊社に入った者です。」
「へぇ。」
物部が何気なく聞いたが狩谷は耳打ちした。
「少し奴は…臭う。少し注意しながら探れ。」
「…そうですか?」
物部の疑問に狩谷は自信の瞳で見つめることで応えた。
「…事前の情報で、被害者の青嶋は発見された前日の夜9時過ぎに発見された場所の近くのコンビニの防犯カメラに映っています。」
「…となればその日夜から朝、発見されるまでのアリバイだな。」
二人は確認をしていく。
その時間には居酒屋にいた者、家に居た者、近くに居なかった者、ほとんどがアリバイなどがある者ばかりだった。
そして、残るは赤石のみ。
「…どうもさっきはすみません。」
赤石は警官二人を相手に声のトーンも何も変わらずぼんやりとした感じで話し始めた。
「…じゃあ…赤石さん。あなたは青嶋さんが殺害された日の夜9時頃はどちらに?」
「家に帰ってました。」
「それを証明できる人は?」
「居ませんね、一人暮らしだもんで。」
「…ちなみに青嶋さんとは…どんなお関係で?」
「…同僚ですね。」
物部の質問に淡々と応える赤石。
「もういいですか?仕事があるんで。」
赤石はそのまま堂々と警官二人をおいて自分のPCの前にフラフラと歩いて行った。
「…すみません、赤石はあんな感じな所があって、悪い人間ではないんですが。」
課長が警官二人に頭を下げた。
「…因みに…彼と青嶋さんは仲が悪かったり?」
狩谷は腕組みをしたまま課長へたずねると、課長は少し驚きながらもうなずいた。
「ええ、彼は青嶋とも良くぶつかっていました。この間も青嶋の作ったプログラムの脆弱性を指摘したものですから…。青嶋は皆を引き連れるタイプですが、彼は一匹狼タイプでその違いもまたぶつかる要因で。」
狩谷は話を聞いて物部に耳打ちを。
「物部…あいつは怪しい。」
「…まぁ、変ですよね。」
「…何としてでも証拠を上げるぞ。」
狩谷の言葉。物部にしか聞こえなかったはず。しかし赤石はPCの画面を見ずに映る自分の顔の横に居る警官二人を見ていた。
「一度出て情報の整理だ。いくぞ!」
「は、はい!」
立ち上がる狩谷。そのまま直ぐにあるいていく。物部は資料を慌てて纏めて狩谷を追いかけようと。すると。
「…夜は気を付けて下さい。」
「うわっ!?ビックリした!」
物部の真後ろに赤石が立っていた。
「…身近な人ほど…隠し事があるもんですから。」
「は、…はぁ。」
髪の向こうに見えた細い目が妙な笑みを浮かべていた。物部は逃げる様にしながら狩谷を追いかけた。
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