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朝日がゆっくり昇る。朝日がぼんやりと建物の隙間の狭い道を照らす。冷気がコンクリートの道路を覆う。その冷気の下、コンクリートの上を伝って大通りへ赤い液体が静かに大通りへ広がる。
じわりじわりと広がる液体を早朝の運動をしてる男性が発見した。首に巻いているタオルで額の汗を拭い、少し減ってきた前髪を気にしながらその液体を辿って視線を大通りから狭い道へ顔を動かす。
建物の排気のパイプが途中で曲がり、道の中のゴミ箱がひっくり返っている。
よく見ると壁のビスが飛び出した部分に服が引っ掛かり宙に浮いている。
血の付いた腕のみが。
「…ほぉうっ!…」
男性は慌ててその場から逃げ出しながら電話で警察を呼んだ。
その路地、腕の下にはゴミに埋もれていた腕の持ち主が居た。その姿は一枚の紙を破り捨てる時の様に上半身と下半身とが分断されていた。
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