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第47話 突然に
本場のとんこつラーメンは思ったよりあっさりしていた。
リンはカメラに向かって食レポした。
「豚骨ラーメンってスープはあっさりしてるし、麺は細くていくらでも食べられそう」
そう言うと替え玉(麺のおかわり)を頼んだ。
ポーンと投げられた麺が後ろでキャッチされリンの丼に注がれた。
「キャ〜凄い!!!」リンは嬉しそうにはしゃいだ。
撮影が終わると他の屋台にも行って2人で博多の夜を楽しんだ。
ふと電柱の影にいた人の胸のあたりがキラっと光った。
不思議に思ったが、気にする事でもないと思った。
翌日は天神の地下街を歩いた。
「福岡って大きな街だねえ」リンはキョロキョロと見渡しながら歩いた。
オレは何となく人に見られてるような気がした。
もしかして、リンのファンがいるかもしれないと思い、手を繋ぐのをやめた。
しかしリンが不服そうな顔をしたので、また手を繋いで歩いた。
午後から長崎へ向かった。
長崎の町は港に向かってすり鉢のようになっている。
夜景が綺麗だという事で稲佐山のホテルに泊まった。
「ねえタクちゃん、港が見えてとっても綺麗よ」
「そうだねえ」
「遠くまで来たんだねえ」リンは景色を見ながらボソッと漏らした。
スマホに奏太からメールが届いた。
『大変な事になってるぞ、大丈夫か?』
『何が?』
『知らないのか?電話するぞ』
スマホの発信音が鳴った。
「匠真、福岡でプリンちゃんと2人の写真がスクープされてネットにばら撒かれてるぞ」
「えっ!!!本当か?」
「プリンちゃんに騙されたって炎上してるぞ」
「解った、見てみる」電話を置いた。
「リン、福岡で2人の所を写真に撮られたみたいで騒ぎになってるらしいぞ」
「ウソ……」リンがパソコンを開くと目を覆う状況だ。
「やっちゃったね」
「そうみたいだなあ……どうする?」
「うん……多分、今何かしても火に油かも……」
「そうか……」オレはガックリとソファーに座り込んだ。
「九州の旅は、このまま続けられそうにないな」
「そうだね」
しばらく沈黙が続いた。
「また天空カフェに避難しようかなあ」リンは遠くを見るよに言った。
「そうだな、あそこなら安全だし優しい人たちだから少しは気が楽かもしれないな」
「うん」
「明日天空に向かって出発しよう」
「うん」
「リン大丈夫か?ごめんな、オレがリンを苦しめることになってしまって」
「タクちゃんのせいじゃ無いもん、私が悪いの、私が幸せになろうとしたからバチがあたったんだわ」
リンはソファーに座ったおれに顔を伏せて涙を流した。
しかし、リンは大泣きをしなかった。それどころかしばらくすると冷静な顔をして横に座った。
「タクちゃん………聞いてくれる?」そう言ってオレを見た。
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